第1話 ページ3
ガヤガヤガヤ
原宿。
人の往来の多さは田舎とは桁外れ。
ここに来る途中で俺は自分が静岡にいたことに気づいた。
静岡を出たのが午前1時ごろ。
その後朝一番で原宿に着くとか俺、偉くない?
なのに呼び出した本人はどこにもいない。
俺はスマホを取り出して電話をかけた。
プルルルルッ
〈こちらの電話は現在電源が切られているか……〉
『チッ!』
俺は勢い良くスマホをポケットに戻す。
とりあえず適当に散策するか。
東京とか久しぶりだし。
「あの、お兄さん今1人ですか?」
「もし良かったら私達とお茶しませんか?」
「私達、これから買い物に行くんですけどご一緒にどうですか?」
ほら、これだから都会は苦手なんだよ。
すぐ人が寄ってくる。
目立ちたくないのに。
『ごめん、人を待ってるから……』
「そんなぁ、じゃあその人も一緒に……」
『あー、呼ばれてるわ。じゃあね』
適当に返事をしてその場を離れる。
何で俺は人に絡まれるのかな。
職業柄目立ちたくないんだけど……。
『ああ、でも君達にモテるのは大歓迎だよ』
原宿のきらびやかな通りから1本それた裏道。
原宿程人が多いとその分負の感情も貯まる。
だから呪霊が多い。
イィィィィガァアァァァ
『良いね、中々大物だ』
呪霊には知能が無いことが多い。
だから、背後を取ってしまえば大抵の呪霊は祓える。
俺はそう考えてる。
だって俺、誰かさんと違って最強じゃないし。
そんなことを考えながらいつも通り呪霊の背後に回り込む。
『我、呪われし血の下に、今、呪い祓わん』
小さく呟いて拳を握り、呪霊の頭目掛けてそれを落とした。
アァァァァアァァァッ
なんで呪霊って死ぬときにこんなにうるさいんだろう。
ま、良いか。
そんなこと言ってたらこの仕事も続かないね。
俺の周りにわらわらとまた呪霊が集まる。
俺はただ呼ばれただけなんだけどな……
こんなことなら駅前で待っとけば良かった。
『あー、早く迎えに来い!五条悟ー!』
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2024年3月16日 22時