第16話 ページ19
『うん、で、伊知地さん?報告を』
伊知地「はぁ。簡単に説明させていただきます。まず、釘崎野薔薇、伏黒恵、虎杖悠仁は少年院にて合同任務に取り掛かりました。しかし、そこで未登録の特級呪霊と遭遇」
『特級呪霊……』
俺が闘ったツギハギ。
あれも未登録の特級呪霊だった。
まさかアレが?
いや、そんなはず無い。
かなり弱っていた。
復活には時間が足りない。
伊知地「その場で宿儺が憑依し、虎杖君の心臓を摘出。伏黒恵君が対応します。しかし、虎杖君は無理矢理宿儺の支配から外れ、自死しました。報告は以上です」
五条「少年院に向かわせたのは上層部の連中の差金だ。確実に悠仁を殺すつもりだったんだ」
『……』
五条「まさか、悠仁がこんなに早く……」
『……静かに』
俺の言葉で2人は口を噤む。
俺は目を閉じて虎杖の身体に触れた。
もう片方の手で近くにあったナイフを取り、触れている手の甲を切る。
『……呪血・月下』
呪血・月下は身体に少しでも呪力が無いと使うことが出来ない。
身体に残った呪力を呪血を介して相手に流し、相手の精神に入り込む。
呪血は基本的に対呪霊用の能力。
対人間用に使えるものは少ない。
俺は目を閉じたまま静止する。
俺の手の甲から血が溢れ出し、虎杖の身体に零れる。
『……』
静かに、集中しろ。
真っ直ぐ相手の精神に入り込め。
死んでいたら終わり。
でも、もし生きているのなら……
ズアァァァァッ
『……!』
俺は虎杖の身体から離れる。
同時に尋常じゃない汗が吹き出した。
両手がブルブルと震える。
五条「……何が見えた?」
『……とっても、面白いものが』
俺の言葉が震える。
恐怖じゃない。
怒りじゃない。
ただ、そこにあったのは途方も無い呪いの力。
これが、宿儺の精神……
いや、宿儺の生得領域……
『……うん、これは……』
ただの呪霊じゃない。
宿儺と定期的に闘いたい、とは言ったもののもし宿儺が更に力をつけたら俺は確実に負ける。
自分の弱さを久々に感じた。
俺は五条悟じゃない。
最強じゃない。
だからこそ、強いと思ってた。
最強の下に並ぶ呪術師の中で最も強いと。
ただ、少し高をくくりすぎた。
『……そろそろ、本気出さないとなぁ』
俺は立ち上がった。
『五条先生、虎杖が起きたら連絡して』
五条「じゃあ、やっぱり……」
『うん、宿儺は生きてる。少なくとも虎杖も』
五条「そっか……Aは?」
『……武者修行に』
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2024年3月16日 22時