第１４話 ページ17
『……はぁ？』
???「アハッ！良いねぇ、その顔！その怒りと嫌悪で満ち溢れた顔！まさに呪い！アッハッハッ！」
笑い転げる呪霊の口元を剛剣で斬りつけた。
『……誰と、誰が、同類、だと？』
???「決まってるだろ？……オマエと俺さ！」
呪霊は恐ろしいほどの笑みを浮かべる。
???「最初は呪術師だと思った。でも、呪力を持っていないただの人間だった。いいや、それも違った！オマエの身体は呪いで満ち溢れている！憎しみ、恨み、怒り……オマエの身体には、その全てが込められている。オマエに呪いがかかってるんだと思った。でも、今の顔を見てわかったよ！オマエは……呪いだ！」
ざわり。
俺の中で何かが騒ぐ。
???「ねぇ、オマエは俺達の仲間じゃない！同じ呪い同士、考えることは一緒さ！軸や一貫性に囚われず、気の向くまま、自由に、人間を欺き、誑かし、殺すことこそが、呪いの本能！ね？オマエもそうだろう？」
『……黙れ』
???「きっと仲良くなれるよ、俺達は。友達になれる。そうして、一緒に人間を殺そう！」
『黙れ』
???「あぁ、それとも今呪術高専に潜入してるのかな？楽しいよね、人間を裏切る瞬間って！オマエも好きだろ？あの醜く歪んだ顔！俺達は狡猾だ。呪いらしく、人間らしく。それが俺達の本来の在り方なんだよ。そう、俺達──呪いの」
『黙れ!!!』
俺の声が響く。
『黙れ、黙れ、黙れ！』
俺は剛剣の先を呪霊に向けた。
『お前らと一緒にするな！醜い、化け物ども！俺がお前らと同類だと？侮辱するのも大概にしろ！だいたい俺は呪いじゃない。人間だ。厄介な呪いがかけられただけのな。本能？仲間？友達？お前が言うな！』
一気に喋ったせいで脳に酸素が足りてない。
俺は肩で息をしながら呪霊を睨みつけた。
???「ふぅん……気付いてないのか、そう思いたいだけか。それとも……何でもいいや！」
次の瞬間、呪霊の姿が変わり一目散に逃げ出した。
『っ！？待て！』
俺は剛剣を振り下ろすが、一足先に排水口に入って行く。
???「バイバーイ」
ドゴォッ
排水口が壊れる。
『チッ』
逃げられた。
あれだけ弱らせておいて。
聞き耳を持たなければ確実に祓えた。
それなのに俺は……
──オマエは……呪いだ！──
あの呪霊の声が嫌に耳に残る。
『気色悪い……』
何で俺がこんな思いをしなくちゃならない。
俺はただ不幸な人間なんだ。
『……』
誰かに呪われただけの、可哀想な──
『……あーア、バレちゃっタ』
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作者名：亜叶緒夜鳴 | 作成日時：2024年3月16日 22時
