第９話 ページ12
『んー、明らかに雑魚だろ。コイツ』
俺はひしゃげた頭を持ち上げる。
もちろん呪霊の。
『嘘をつくなー！五条悟ー！』
俺の大声が住宅地に響く。
目的の呪霊は両手が釜の気色悪い奴だった。
『……なーんか、気色悪いなぁ。本当に』
俺は呪霊の頭を持ち上げる。
普通、呪霊は頭を取ればすぐに消える。
それなのにこの呪霊はいつまで立っても消えない。
気色悪いというか違和感。
『これの被害っていつからだろう』
俺は手渡された資料をめくる。
『あー、ね。そう言うこと』
俺は資料を投げ捨てる。
ちなみに被害が始まったのはなんと１週間ほど前だった。
『ま、本人が教えてくれるなら万々歳。出てこいよ』
俺は建物の影に向かって言う。
少しの間、反応はない。
『隠れなくていいからさ、さっさと出てこいよ。何となく気配だけだと確信は持てないけど……お前、特級だろ？』
また間。
そして……
???「あれ〜？オマエ、気づいてたの？」
『さっきからそう言ってんだろ。てか、顔どうした？ツギハギ？』
???「元々これだよ。って、オマエ、呪術高専の生徒？アハハッ！嬉しいなぁ！実験台が来てくれるなんて！」
『あ？実験台？何のこと？』
建物の影から現れたのは顔がツギハギの人形呪霊は俺が持っている呪霊を指差す。
???「そーれ、人間だよ」
『……は？』
俺は思わず手に持った呪霊の頭を投げ捨てる。
人間？
あれが？
だってあれ、気配が完全に……
???「俺の術式だよ。魂の形を操作して、物質そのものの形を変えるんだ。今はより強い人形を作るために実験中ってわけ！」
魂？
あー、なるほど。
俺は呪力が無いから気付けなかったってことね。
たぶん五条先生なら秒で気づいたんだろうな。
???「でも嬉しいなぁ、本当に！新しい実験台が来るなんて！しかも呪術師の！どんな形になるのかなぁ……！フフフッ！」
『お前、テンション飛んでんぞ。大丈夫か？』
???「……他人の心配してる暇、あるの？」
おいおい、急に真顔になるなよ。
感情の起伏が激しいな。
『あー、うん。ま、どうにかなるんじゃね？』
???「は？」
『俺、そこそこ強いし。しかもお前、特級レベルの呪霊ってだけで、まだ完全に力とか使いこなせるわけじゃ無いだろ』
???「……」
『ま、お前の実験に付き合ってやるからさ、俺が強くなるために……お前も協力しろよ？』
ニヤリと意地悪く口角を上げた。
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作者名：亜叶緒夜鳴 | 作成日時：2024年3月16日 22時
