第8話 ページ11
呪術高専東京校。
東京の自然豊かな山奥にひっそりとたたずむ高校だ。
多くの呪術師がここを卒業し、未だにここを拠点として活動している。
結界が貼っており、建物の位置はランダムで変化する。
俺は呪力がないから建物の位置をいちいち見抜くことが出来ない。
迷子にならないための対策は、呪血を使うこと。
予め建物内の決まった場所に俺の血を落としておく。
そうするといつでも血を辿って移動できる。
位置が決まっている瞬間移動のようなものだ。
ただ、地面や壁から出てくることになるけど……
『……呪血・逐電』
地面に向かって血を数滴落とす。
それがジワジワ広がって俺を包み込んだ。
んで、出た場所は……
五条「あれ?A?何してんの?」
『……出るとこ間違えた』
突如壁から出てきた俺に五条先生が声をかける。
そっか、どうせ血を追わなきゃいけないんだから、どの血がどの場所か把握しないと完全にはならないんだった。
やっぱ呪力0の生活ってキツイな。
五条「今の新技?瞬間移動的な?」
『そんな感じ。俺が事前に垂らしといた血を辿って場所を移動するんだ。でもそれだと……』
五条「どの血がどこに繋がってるかわかんないんでしょ?」
コイツ、簡単に言いやがった……
『俺には呪力がないから案外難しいの!』
五条「そうじゃなくて、Aは急ぎ過ぎなんだよ。ただでさえ呪血を完全に操るには高度な技術が必要なのに、Aはどうせ色んな所に血をばらまいてきたんでしょ?まずは地道に2つくらいから始めないとさー。上達しないよ?」
『ぐっ……』
珍しく出た正論が胸に刺さる。
確かに急ぎすぎた気もする。
認めるのは癪だけど。
『……そう言えば1年3人は?』
五条「んー?仕事行ったよ」
『え、俺は?』
五条「だっていなかったじゃん」
『ぐっ……』
それは仕方無くないか?
五条「安心して。Aにはとびきり良い案件、残してあるから」
『とびきり?』
五条「そ。ほら、これ」
五条先生が俺に資料を渡す。
俺は軽くそれに目を通した。
内容を簡単に言うと、夕方に現れる切り裂き魔の話。
被害者に共通点は無く、突然身体を切りつけられたそうだ。
しかし、犯人らしい人影はどこにもない。
『……臭うね』
五条「呪霊の臭いがプンプンする」
こういう場合、だいたい犯人は呪霊だ。
だから俺の出番ってわけ。
『でも、俺との約束忘れてない?』
五条「そんなことないよ。たぶんソイツ、強いから」
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2024年3月16日 22時