紅の呪い【呪術廻戦】 (ページ1)

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はじまりページ1

プルルルルッ

『はい、Aです』

???〈あ、A？今どこ？〉

『どこって言われても……』

俺は辺りを見回す。

目に入ったのは青白い月。

それから積もりに積もった生ゴミの山。

一応路地裏の突き当りのようだが、地名までは中々言えたものじゃない。

『少なくとも日本』

???〈えー？それじゃわかんないじゃん！〉

『じゃんって……子どもじゃないんだから……』

???〈んー、まあいいかー。てか、もう気づいてるでしょ？〉

『何に？』

俺はわざとらしく小首をかしげる。

周りには誰もいないのに。

???〈例の宿儺だよ〉

『……ああ、アレね。気づいてたよ、もちろん。だって俺の周り……異様に呪霊多いし』

そう言って振り向くと、大型の呪霊が俺に食らいつこうとしていた。

俺はそれを軽々と交わして下から拳を入れる。

　ギｬｱｧｧｧアｧｧｧッ

この世の物とは思えない悲鳴が路地に響いた。

???〈ごめんごめん、忙しかった？後にする？〉

『全然平気ー』

???〈ならよし！じゃあさ、A、入学ね〉

『はい？』

思わずおかしな声が出た。

『入学？何それ』

???〈え、A、もう15歳でしょ？アレじゃん、ピカピカの１年生！〉

何を言ってるんだ、この人は。

『何を言ってるんだ、この人は』

また声に出た。

???〈えー？良いじゃん！今フリーでしょ？〉

『いや、でも学校？俺、日本中旅してんだけど？』

???〈たまには落ち着いてさ〜。青春しよーよ〉

『青春って……どーせ呪術高専でしょ？誰かさんみたいな変人しかいねーじゃん』

???〈ハハハッ！確かにね〉

電話切ってやろうか。

俺は耳からスマホを離して通話停止ボタンに手をかける。

???〈……でもさ、気になんない？〉

『……何が？』

???〈何で宿儺が受肉したのか。受肉したのがどんな人間か。んで、どんだけ強いか。君、そう言うの好きでしょ？〉

『……』

俺はポケットに手を入れる。

そこに入っているのは不気味な指。

乾燥してドス黒い紫に変色したそれは、恐ろしいほどの呪力を持っていた。

???〈器はもう２本呑んだよ〉

この禍々しい呪力を２つ分。

どんな化け物だよ。

俺の口元がニヤリと釣り上がる。

???〈どう？興味ある？〉

『……ま、楽しそうだから行くよ。俺、そう言う楽しいこと、大好きだから』

???〈そう言うと思った。じゃあ、明日の朝、原宿ね？〉

『は？何で？』

???〈それは来てからのお楽しみ！待ってるよ〉