西谷夕 ページ6
「…」
「どうしたんだよ佐藤…あぁ」
拗ねている彼女の視線の先には清水先輩の事をめちゃくちゃ褒めている西谷と田中がいた。…ったく田中はともかく西谷お前には彼女いんだから少しは控えろよ。
「あー…まぁいつもの事だろ」
「縁下くんはさ、もし彼女がいてその彼女は他の男を毎日褒めてるのを見てそうやって割り切れる？」
あ、ヤベ。完全に地雷踏んだわ。にこりと笑って入るが目元が全く笑っていない佐藤を見るに相当怒っているようだ。
「ちょーっと夕の所行ってくる」
「あ、ちょ！」
待てと行っても佐藤はもちろん止まらない。ぐんぐんと彼女は進み、西谷たちのいる所へとたどり着いてしまった。
「ねぇ夕」
「A！どうしたんだよ！」
どうしたもこうしたもねぇだろ！馬鹿なのかお前は！？馬鹿だな！
「そんなに清水先輩のことが大好きなら私みたいな奴と付き合わないで清水先輩と付き合ったら？」
「…は？何いってんだお前」
「何言ってるって思ったままの事を言ってるだけだよ？毎日毎日潔子さん潔子さんって言ってるのを見てるこっちの身にもなってよ」
「もしかしてお前…」
ようやく西谷も佐藤が怒ってる事に気付いたか。というか佐藤も清水先輩巻き込むのはやめろよ。先輩めちゃくちゃ困ってるだろ。
「やきもちやいてんのか！！！！」
「「はぁ？」」
思わず俺も声に出てたらしい。馬鹿だとは思ってたけどここまでとは思ってなかった。
「安心しろA！！確かに潔子さんは美しい！！だけど俺がキスしたいのも触れたいのもえろい事したいって思うのもAだけだぞ！！」
ドヤ顔で言い切った西谷の事はある意味尊敬する。…田中は田中でかっこいいって言ってるけどお前もまじで馬鹿だな。
脳内で2人を罵倒しているとバシーン！ととてつもなく大きな音が聞こえた。音のする方を見ると顔を真っ赤にして手をふるさせていた佐藤と赤いもみじを頬につけた西谷がいた。
「っはぁ！？も、あんたほんと馬鹿じゃないの！？」
そう吐き捨て佐藤は体育館を走り去っていった。叩かれた西谷はポカンとしていたがすぐさま佐藤の事を追いかけにいった。
「どいつもこいつも馬鹿ばっか」
西谷田中は言うまでもないが素直になれない佐藤も佐藤だ。盛大なため息をつくと清水先輩はお疲れとだけ言って3年生達の方へと歩いていった。
…来年のウチが少し心配だ。
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作者名：彩乃 | 作成日時：2019年9月10日 20時
