日向翔陽 ページ1
「翔陽また間違えてる」
「あーもう分かんねぇよ!」
「投げやりにならないでよ、私だって自分の勉強したいのに翔陽に付き合ってるんだから」
「なってねーし!それと本当に感謝してる!」
感謝してると言いながら目の前のテキストとにらめっこしてる翔陽を見てると本当に自分と同じ受験生なのか不安になってくる。まさかこんな簡単な問題すら解けないなんて…。
「そんなに"小さな巨人"と同じ学校に行きたいの?」
「行きたいっ!!!!」
「ふーん」
「聞いた割に興味なさそうな反応するなよ!」
「だって私バレーに興味ないし」
「え?そうなの?」
「翔陽と違ってバレーやんないし見るのも別に興味ない」
「でも、俺の話すげー聞いてくれるし最後の大会だって来てくれたじゃん」
「…翔陽が拗ねるからね」
「ハァ!?そんぐらいじゃ拗ねねーよ!!」
子供扱いすんな!と大声で言ってくるこいつが驚く程鈍感で助かった。
話を聞くのもバレーの試合観に行くのだって、バレーの話をしてる顔が──バレーをしてる顔が好きだからだよ、なんて言ったら目の前のこいつはどんな顔するんだろうか。
「ほら、さっさと勉強に戻る。受験まで時間ないんだから」
「おう!」
私の想いになんて一生気付かなくていい、振り向いてくれなくても良い。──だから、いつまでも前だけ見て真っ直ぐ進む君でいてね。
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作者名:彩乃 | 作成日時:2019年9月10日 20時