あなたのいない、この世界で【煉獄杏寿郎】

感謝 ページ18

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「まぁ、とても素敵ね」



かっこいいわと桜寿郎の頭を撫でてやれば、桜寿郎は嬉しそうに少し笑った後、不思議そうに首を傾げながら私をみる。









「どうかした？」


「…さねみおにいちゃんが」



そんな桜寿郎の言葉と、ほぼ同時に不死川さんの方に目線を向ければ、不死川さんの顔には涙が伝う。







「不死川さん…？」



大丈夫かと確認するように呼びかければ、本人も気づいていなかったのか、不死川さんは人差し指で確認するように涙に触れた後、驚いたような顔で目を開く。









「…あァ、最近はこんなんばっかだなァ」



ぽつりと呟いたその声はなんとも細く、不死川さんは桜寿郎へゆっくりと視線を向けると、不死川さんは懐かしむように頭を撫でる。





涙こそ出ているが、その顔からは悲しみは感じない。









「ねぇ桜寿郎

このカブトムシはどの辺りで見つけたの？」



パッと良いことを思いついた私は、涙を乱暴に拭う不死川さんににこりと笑いかけ、桜寿郎に問う。









「あそこの木のあたりです！」




そう言って、少し遠くを指さす桜寿郎の手をそのまま包み、くるりと振り返って不死川さんを見る。









「ほら、一緒に見に行きましょう？」





そう笑いかけた途端、ブワッと吹き上がる風によって髪が巻き上げられるが、私は特に気にせず、座る不死川さんに手を差し伸べる。









「…ありがとな」









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そう静かに呟いた不死川さんの言葉は、本当に暖かくて、優しくて、私はこちらこそありがとうという意味を込めて、私の手をとった不死川さんの手を力強く握った。









◇◇◇









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