長期合宿 ページ24
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「うおー！辛い辛い1週間合宿が始まりますよ〜！」
「…わざわざ言うなよ」
試合前、体育館にいる皆に元気に声をかけると、関田先輩がどこか空を見つめて、魂を抜かれたようにそう呟く。
そしてその後ろでは、この合宿の過酷さを既に察したのか、研磨が始まってもないのにゲッソリした顔をしていた。
「帰りたい…」
「あと6日後ね」
ゾロゾロと一試合目のコートに向かっていく最中、全く動こうとしない研磨を引っ張りながら、私は指示された奥のコートまでマネの荷物を持って移動する。
「お、梟谷も来たね」
こちらに手を振ってくる雪絵とかおり、そして木兎に手を振り返しながら、体育館に入る前に全員で挨拶をする梟谷を眺める。
前回の2日間の合宿ではあまり話せなかったが、木葉と小見も合宿に参加しており、後ろの方の列には赤葦もいるのが見える。
「なんか夏が来たって感じするわぁ」
「うわ、すげぇ分かる。」
この合宿風景が夏の風物詩のようなものにでもなっているのか、私がなんとなくそう呟くと、それに同意するように、いつの間にか隣にいた夜久が笑う。
「てかお前さ、
ちゃんと他校のマネと仲良くできてんの？」
「今更すぎだわ」
ちゃんと仲良くやってますぅー。
いらない心配ですぅー。
いくら私に友達が少ないからって、本気で心配そうな顔をする夜久に、ムカついた私は煽るようにそう言って、夜久の背中を強めに叩く。
「そっちこそ、
もうそろそろ梟谷には勝ってもらわないと」
「それこそ心配いらないわ」
初っ端から木兎のスパイク、ガンガン上げてやるよ！！
そう言って自信満々に笑う夜久は、ギラギラした目でコートを見つめている。
二年にして東京でもトップレベルの実力を持つ夜久は、コートに入るととてつもなく頼もしい。
「…夜久がプロになる前にサインもらっとこうかな」
「おいおい、どんだけ気が早いんだよ」
そんなことを言いつつも、嬉しそうに顔を緩ませる夜久に、私はサイン考えてあげるよ！と提案するが、いらん。とハッキリ断られる。
「夜久のサイン、将来メルカリでいくらになるかなぁ」
「なんだよ売る気かよ。」
◇
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作者名：西川あや x他1人 | 作成日時：2020年8月5日 21時
