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「うーん…来ないなあ」
朝練があった俺は早くから学校に来ていた。朝練が終わったころにはもう来ているはずのAの姿が見当たらない。
「ねえ、A来てない?」
「来てねえよ?休みなんじゃね?」
近くにいた友達に聞いたけど、知らないらしい。すると、後ろからどたどたと走る音が聞こえた。
「ツリメ!!」
「あっ、そら、えいちゃん!あのさ、A見てな____」
「Aが!!」
「わ、なに?」
そらとえいちゃんの顔は慄然としていた。何があったのか。胸騒ぎがした。
次の言葉に、俺は言葉を失った。
「Aが、電車に轢かれて…死んだ」
。
「ねえ、A見てない?来てない?」
「え?来てないよ?」
「ね、ねえ、Aって知ってる?見てない?」
「A先輩ですか?すみません見てないです…」
Aの部活の同級生、後輩、Aと仲がいい友達__いろんな人に聞いたけど、知らない、見てない、来てない。
「嘘だ嘘だ、死んだなんて…ただの嘘だろ、」
気が狂ったように学校中を探し回った。Aならドッキリだと言ってどこからか出てきてくれる。出てきたら大爆笑してるんだ。
「あ…先生!!」
「ん?」
「A知りませんか!?えいちゃんたちは死んだとか言うんです!嘘ですよね!?」
昨日俺たちの邪魔をした担任の先生が歩いていた。俺はすぐにかけより、Aの場所を聞いた。先生はたじろいだけど、ゆっくり口を開いた。
「…それは嘘じゃない。すまない」
「そん、な…」
力が抜けたように床に膝をついた。先生は俺の背中をさすってくれた。
「昨日、酔っ払ったサラリーマンが電車を待っていた(人1)にぶつかってな…バランスを崩して、線路に…」
「A…Aっ…!」
チャイムが鳴っていた。ところどころの教室から椅子を引く音が聞こえる。
俺は声を抑えることなく、声をあげて泣いた。
。
俺は駅内にいた。もうじき電車が来るだろう。
「……俺って、こんなやつだっけ」
周りの人に聞こえないようにボソッと呟いた。本当に聞こえていないようで、俺の方を振り向きもしない。
「いいじゃん、ちょーどいいや」
電車が近づいて来る音。もうそろそろだ。
「Aは寂しがり屋だからね、」
「いまいくよ、」
そう言って、俺は線路に飛び込んだ。最後に聞こえたのは、人の悲鳴だけ。
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あやもち(新アカウント)(プロフ) - リンさん» ちょっと違う気がしますがありがとうございました! (2018年1月20日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
リン - ありがとうございました。面白かったです。 (2018年1月20日 22時) (レス) id: da57983ead (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - ありがとうございます!! (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - 未来さん» 了解です! (2018年1月20日 21時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
未来(プロフ) - りょうくんとイチャイチャするシチュエーションってお願いできますか?? (2018年1月20日 21時) (レス) id: 3b3f15d52b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2017年11月17日 14時