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「あいつは殺せたのか?」
『…いえ、まだ、すみません』
「仕事はしろと言ったはずだ」
ある日、社長
『社長、あの人は…悪い事をした訳では無いです。返してあげることは出来ませんか』
「返すだと?そんなことするわけない。ヤツは被検体だぞ。早くしろ」
私は言葉に詰まった。社長の威圧に負けてしまった。
「さもなければ、お前を被検体にする」
『えっ』
「被検体は消耗品にすぎない。基本誰でもいいんだ」
『………最低』
「勝手に言っておけ」
初めて社長に向かって口答えをした。しかし、社長は動じることもなく嘲笑した。
私は荒々しくドアを閉め、その場を後にした。
。
「何でそんなに不機嫌なの?」
『不機嫌じゃない』
「嘘、めっちゃ不機嫌じゃん。顔に出てるよ。てか飲みすぎ」
家に帰ってやけ食いならぬやけ飲みをしている私。それに彼は付き合ってくれていた。
風呂上がりの彼は前髪が下ろしてあった。ていうか、風呂入るの早くないかな。女の私より早いんだけど。
『…早く殺さないと、私を被検体にするって』
「うんうん」
『でも私…あなたのこと殺したくないんだよ……』
「何で?」
『好きだから…』
ここまで言って、私ははっと我に返った。
『忘れて』
「無理」
『お願い忘れて』
「無理」
『死にたい…』
穴があったら入りたい、とはまさにこのことか。お酒には気を付けるべきだった。思いっきり口を滑らせてしまった。
「俺も好きだよ」
『へ?』
「Aが好き」
『や、だから、あれは…』
「逃げるのいつもうまいね〜。でも今更嘘だとは言わせないから」
彼は箸を持ちながら口角を上げた。
ピンポーン
「こんな夜に迷惑なお客様だね」
『出てくる』
家のインターホンはずっと鳴り続けていた。私は少し恐怖を覚えた。
『…今、開けます』
ドアに手をかけ、そっと開けた。
『な、何でしょう』
そこには上司がいた。後ろには社長とそのSPのような人たち。
「あまりにも遅いということで、社長からの命令だ。我々で殺させてもらう」
「A〜、どうした、の」
『っ、逃げて!早く!』
「Aは、」
『早く逃げて!!』
何か嫌な雰囲気を察したのか、彼は踵を返して廊下の奥へ走った。
「仕事をこなすのがお前だろう?何故ヤツを助ける!」
『私にはできません!あなたにだって社長にだって、絶対に彼は殺させませんから!』
これが私の必死な抵抗だった。
私は彼が走って逃げた方向へ向かった。
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らいと(プロフ) - シルクの彼女 仕事が忙しくて誕生日を祝ってもらえなくて寝ながら泣いている お願いします! (2018年4月21日 22時) (レス) id: f3a75c3100 (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - あややさん» いつもめっちゃ面白いリクエストありがとうございます!書きがいがあります(´ー`)お待ちくださいませ!! (2018年4月19日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
あやや - 遅くなりましたが難しい設定にも関わらずありがとうございました!!面白かったです!またリクエストしたいのですが、夢主が東海オンエアのメイドになって仕える設定が見たいです!恋愛は禁止だけど、りょうくんと恋に落ちちゃう感じで!良ければお願いします<(_ _)> (2018年4月19日 22時) (レス) id: c1b6deb7ec (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - はるさきすさん» りょうかいです! (2018年4月17日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
はるさきす - リクエスト失礼しますm(_ _)m としみつとイチャイチャするのっを (2018年4月17日 22時) (レス) id: 55a2846b5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2018年3月17日 14時