虫眼鏡【zawa-mina様リクエスト】 ページ33
「でさー、そん時彼女がね…」
出た。ざわくんの彼女の惚気話。暇さえあればしてるってくらい、何度も聞いた。今度は二度目か三度目かの、クリスマスの話だ。
「彼女さ、なんか意外と天然なんだよね」
ざわくんの言う"彼女"という言葉のイントネーションに、いつも不思議になる。ざわくんだけじゃなく、他のメンバーもイントネーションにおかしさを感じる。
東京出身東京育ちで、愛知に来たのは高校生のときだった。何度聞いても、愛知の人の言葉のイントネーションは変に聞こえる。
「ラブラブだねえ、虫さん」
「聞いてよA、この前さ、ざわくんお弁当作ってもらってんの」
『へぇー。いい彼女さん』
りょうくんに茶化されて、ざわくんは耳まで真っ赤にさせていた。その姿を見て、私の胸がきゅっと痛くなった。
『(つら…)』
その後もざわくんの惚気話は続く。時々入る周りからの下ネタも、もういつの間にか慣れてしまった。男たちと長くいると、こんな違くなるものなのか。
「A?大丈夫?」
『あ……大丈夫だよ』
「顔暗いよ。可愛い顔台無し」
なんでそんなことを平然とりょうは言うのだろう。慣れすぎ。でもよく見てるなあ。
「具合悪いん?」
『…ざわくんの惚気話がお腹に来たのかも。イタタタタ』
「何それ(笑)」
お腹には来てないけど、実際そうだ。
好きな人の彼女の惚気話を聞いて、いい気分になることなんてない。どんだけざわくんのことが好きなのかと、周りに言われても無理はないと思う。
「ざわくんはほんと、彼女のこと好きだねー」
「好きだよ。おい撮るな!スマホ禁止!」
「好きですかー、嫌いですかー(笑)」
「もーっ、好きだよ!大好きだよ!」
私が急に立ち上がったのと、みんなが私の方を振り向くのはほぼ同時だった。
「A?」
『もう、やめてよ、』
「え?」
『聞きたくない…そんな話……』
もしかしたら、ざわくんを傷つけてしまうかもしれない。けれど、私の口は話すことをやめなかった。
『毎回毎回、すごく胸が痛かった!ぎゅって、締め付けられてるみたいで…いつも、逃げ出したかった…っ』
「A、何言って…」
『全部ざわくんのせいだよ!』
「えっ、僕?」
やめないと、話すのやめないと、本当にざわくんを傷つけてしまう。
『ざわくんが、好きなの…!』
ああ、ついに言ってしまった。しかもみんなの前で。
「…………A、ごめん、僕は彼女が好きだから」
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らいと(プロフ) - シルクの彼女 仕事が忙しくて誕生日を祝ってもらえなくて寝ながら泣いている お願いします! (2018年4月21日 22時) (レス) id: f3a75c3100 (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - あややさん» いつもめっちゃ面白いリクエストありがとうございます!書きがいがあります(´ー`)お待ちくださいませ!! (2018年4月19日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
あやや - 遅くなりましたが難しい設定にも関わらずありがとうございました!!面白かったです!またリクエストしたいのですが、夢主が東海オンエアのメイドになって仕える設定が見たいです!恋愛は禁止だけど、りょうくんと恋に落ちちゃう感じで!良ければお願いします<(_ _)> (2018年4月19日 22時) (レス) id: c1b6deb7ec (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - はるさきすさん» りょうかいです! (2018年4月17日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
はるさきす - リクエスト失礼しますm(_ _)m としみつとイチャイチャするのっを (2018年4月17日 22時) (レス) id: 55a2846b5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2018年3月17日 14時