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ある時、Aと二人きりになったことがあった。
『何作ろうかなぁー。みんな何買ってくるだろうね』
「そうだね」
この時もAがお昼を作る予定だった。さすがに自分を含めて7人全員分を1人で作らせるわけにはいかないと思った俺は、じゃんけんで買った人1人が手伝いをしようという案を持ちかけた。賛成され、じゃんけんをして俺が勝った。その案を出した時は、別に食べることを考えてたわけじゃなくて、ただ好きな子と一緒にいたいっていう高校生みたいな願望からだった。
「……、ねえ、A」
『ん〜?』
「…何でもない。呼んだだけ(笑)」
『何それ!?(笑)』
好機だと気付いたのは、てつやたちが出てから数十分経った時だった。
『おっせぇー…』
「どこまで行ってんだか」
『そういえば、みんなが買ってくるもので作らないといけないよね。ふざけそ』
「全部肉かもしれんよ」
『太るげ〜(笑)』
案の定、手を出せるわけがなくて。それはAが好きだからだ。簡単に言えば、好きな子を自分の手で殺めることになる。それだけはできなかった。
『ねえ、りょう?』
「ん?どうしたの」
『もし悩んでることがあるならね、話すといいんよ。りょうは人に話したがらない厄介な人間なんだから(笑)抱え込んじゃいけんよ〜』
「…そう、だね」
。
正直、どきっとした。心を見抜かれた気がした。さすが人のことをよく見てるなと思った。Aのその時の後ろ姿は、食べようなんて思えなかった。
『ぁぁあ"っ…!』
「A!」
『も、もういや…りょう……!』
どれだけの好機があっても避けてきた、できなかった、Aを食べるという行為。
Aは痛みで顔を歪ませ、今にも止まりそうなくらい荒く呼吸をしていた。
「A、…最後に、ひとつだけ、………言わせてほしいことがある、」
『はっ…はー……っ……』
「…………好きだよ、」
たった2文字の言葉を発するのに時間がかかった。声が震えた。Aはにっこり笑っていた。
『ありがと、』
最後にそう言って、ゆっくりと目を閉じた。まるで俺を待っているように。
俺はAを食べている時のことを、よく覚えていない。ただひとつ、今までにないくらい泣いていた気がする。
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
あややさんリクエストありがとうございました!
むずい、むずすぎました…!難しい他にも遅れた理由はありますが…((後々の展開を考えていて、それにどうやって持っていこうかっていうのが…遅れて申し訳ありません!
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らいと(プロフ) - シルクの彼女 仕事が忙しくて誕生日を祝ってもらえなくて寝ながら泣いている お願いします! (2018年4月21日 22時) (レス) id: f3a75c3100 (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - あややさん» いつもめっちゃ面白いリクエストありがとうございます!書きがいがあります(´ー`)お待ちくださいませ!! (2018年4月19日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
あやや - 遅くなりましたが難しい設定にも関わらずありがとうございました!!面白かったです!またリクエストしたいのですが、夢主が東海オンエアのメイドになって仕える設定が見たいです!恋愛は禁止だけど、りょうくんと恋に落ちちゃう感じで!良ければお願いします<(_ _)> (2018年4月19日 22時) (レス) id: c1b6deb7ec (このIDを非表示/違反報告)
あやもち(新アカウント)(プロフ) - はるさきすさん» りょうかいです! (2018年4月17日 22時) (レス) id: c7791dfc52 (このIDを非表示/違反報告)
はるさきす - リクエスト失礼しますm(_ _)m としみつとイチャイチャするのっを (2018年4月17日 22時) (レス) id: 55a2846b5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやもち(新アカウント) | 作者ホームページ:https://twitter.com/avntis_TO_mizu
作成日時:2018年3月17日 14時