海水に溺れて《4th》【YouTuber中短編集】

東海オンエア【まあこ様リクエスト】 ページ19

「やぁどうも、東海オンエアのてつやと」
「りょうと」
「としみつと」
「虫眼鏡だ」

お決まりの挨拶で動画は始まった。
ただ、この企画はてつやと僕しか内容を知らない。てつやは1番先に来た僕にだけ企画内容を教えてくれた。

「東海オンエア解散ドッキリーー！」

つまりりょうととしみつは言われるまで企画内容は知らない。だからこのふたりは知らないでとりあえず拍手してるわけだ。

「うちには唯一の女性メンバーがいるじゃないですか」
「A」
「そう！今Aは別件で遅れてくるんですけど、もう少しで着くはずなんですよ。その時、俺らが深刻そうな顔して話し合ってる的な雰囲気を出して、Aに解散を打ち明けたらどんな反応をするのかという企画です」

今内容を知らされたりょうととしみつは納得したように頷いたけど、呆れたように苦笑いをしていた。

「あー、Aに申し訳なくなるなあ。ごめんA〜(笑)」

Aは、一般女性より少し背が高くて綺麗なのだけど、まだ子供みたいに純粋な心を持っていて、すごく男っぽいのだ。僕は外見とはかけ離れた性格をするAがこれを簡単に信じてしまいそうで心配していた。

「Aすぐ信じちゃいそう」

りょうくんもそれは危惧しているみたいだ。

Aもーちょいで着く
虫眼鏡了解。気をつけて

「A、もう少しで着くって」
「おっ、じゃあカメラ仕掛けよう！」

Aが来た時の様子を撮るため玄関に、リビングに数台カメラを設置し、まるで話し合っているかのように座った。

その数分後、玄関から開閉音が聞こえた。

『ごめんね〜遅くなって……え、何でみんなそんなに深刻そうな顔してんの？』

今日のAはデニムにピースの二乗パーカーというラフな格好をしていた。パーカーの裾(すそ)からちらりと薄緑のブラウスが見えた。

「あぁ、ちょうどよかった。Aにも話さないといけないことだから」
『え、いいけど、待って。手洗ってくる』

肩にかけていた鞄を壁に立て掛けておくと、小走りで洗面台へ向かっていった。

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