海水に溺れて《4th》【YouTuber中短編集】

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そして迎えたFinalリレー。Aは女性YouTuberの中で唯一アンカーとして走ることになった。

『足つりそ〜』
「Aちゃんの走り楽しみだな〜」
『やめてくださいりささん！(笑)』

最初は黄色チームが前を走っていたものの、だんだん俺たち赤チームが追いついてきてついにアンカーのAの番になった。

「Aいっけぇ！」
『うるせー』
「Aちゃんっ」

Aの前の人がAの手にバトンを渡すと、Aは後ろのチームを気にせずにじゃんじゃん前に走っていった。

《赤チーム速いです！そのままぶっちぎりの1位！まさかの走りを見せました！》

『はぁ、はぁ、はぁッ…っあ”ー、もう走れない…』
「すごいじゃんAちゃん！」
『カンタくんどうも…』
「でしょー！？うちのAすごいから！」
「なんでそらちぃが威張ってんだよ(笑)」

見事赤チームが優勝を飾り、俺が表彰台に上った。MVP賞はAが貰った。

『っ…ふぅ』
「Aちゃんすごい汗かいてる、大丈夫？」
『はは、久しぶりだから疲れたのかもしれないですね…』

Aは苦笑いをして、フラフラしながら写真撮影に向かおうとした。

「＿＿＿＿っ、危なっ！」

出来事は一瞬で、カンタくんが倒れそうになったAを抱えた。Aは目を閉じたまま荒く息をしていた。

「Aちゃん！」
「カンタくんどいて！」

Aはその場にぐったりと倒れ、眉をぐっとひそめていた。息をうまく吸えていない様子だった。看護師であるりささんがすぐに駆け寄り、Aに必死に呼びかけた。

「誰か救急車呼んでください！早く！お願いします！Aちゃん、Aちゃん大丈夫？わたしの声聞こえる？しっかりして！そらちぃ、Aちゃん具合悪かったの？何か知らない？」
「わ、わかんないです、」
「嘘でしょ…喘息持ちだったりとか、もしかして何か病気してたり…」

外からは救急車の音が聞こえ、Aは担架に乗せられて運ばれていった。

たった一瞬の出来事なのに、体育館は騒然となった。

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