Be killed by... II (ページ42)

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伊野尾の部屋 1 ページ42

「あんたなんか産まなきゃ良かった！」

伊「へえー...そう...じゃあ...殺してみる？」

俺がそう言った時のあいつの顔。

傑作だった。写真撮っときゃ良かったなあ。

伊「自己満でヤって、自己満で産んで、男の方は自己満で逃げて、お前が自己満で育てたんだから...自己満で殺せば？」

俺はキッチンから包丁を持ってきてあいつに近づいた。

首を横に振りながら、後退りするあいつに、俺は馬乗りになって。

伊「何？...産まなきゃ良かったって言う癖に、殺す覚悟はないわけ？」

「あなたまだ小学s...「小学生だから？」」

伊「殺される覚悟もないと思ってんの？」

言っとくけど、と俺はあいつを睨んだ。

伊「俺、殺される覚悟も、殺す覚悟もあるから」

その日、俺が取った包丁が赤く染まって。

部屋も真っ赤っかのびっちょびちょ。

まるで作品のような。

伊「お母さん、こんな綺麗な顔してるんじゃん」

俺はその写真を携帯で撮った。

まあ、その携帯は自ら出頭した警察に没収されちゃったけど。

ギリギリ10歳だった俺は少年法とやらに守られて、捕まることなく家と家族をなくした。

しばらくは学校の先生の家に住んでたけど、つまんなくて脱走した。

ふらふらとあてもなく歩いていると、1軒のBARが目に止まって。

未成年でもちろんお酒なんて飲めないけど、俺は気づけばそこのドアを開けていた。

「いらっしゃいま...」

カウンターでグラスを拭いていた男の人が、俺を見て手を止めた。

伊「...あの、俺」

「あぁ...分かった。そこ座って」

どうやら他にお客さんはいないみたいだ。

男の人は、頬杖をついて俺の顔を眺めた。

喋ろうとすると、人差し指を口に当てられて。

「喋らなくていい。

...君が高校生になったら、君だけのステージを用意してあげる。それまでに一緒にステージに立ちたい人を選んで」

そして、俺の顎を掴んで、すれすれまで顔を近づけた。

「分かる？...これが殺したい人の目だよ」

この人に、命を預けたいと思った。

この人の下で、一生殺して生きていく。

10歳にして、俺は大きな決意をした。