有岡の部屋 2 ページ40
ある日、お父さんの会社が倒産した。
すぐにお父さんは行方不明になって、俺は家賃を払えずに大家さんに追い出された。
Jrとしての収入はあったけど、お母さんの治療費に全部消えて、俺は家を借りることも出来ずお母さんと一緒に病院で寝泊まりしていた。
そんな時。
?「だーいちゃんっ」
有「うお...っびっくりした、伊野ちゃん...」
伊野ちゃんは、Jr内で同じグループに入ってて、めちゃくちゃ仲がいい。
伊野ちゃんが家に泊まりに来たこともあるし、プールとかに一緒に遊びに行ったこともある。
だから、完全に油断していた。
有「どうしたの」
伊「目、見せて」
有「...目?」
伊「いーから」
その瞬間、俺の顔の間近に伊野ちゃんの顔があった。
伊野ちゃんの目が青く光る。
有「え、ちょ、」
伊「しー...。...うん、大ちゃんもだね。嬉しいなあ」
有「え、何が」
聞くと、伊野ちゃんは次の瞬間思いがけない言葉を発した。
伊「大ちゃん、人殺すの好きでしょ」
有「は!?」
俺は慌てて首を横に振った。
そんなわけない。むしろ、生きて欲しい人がいっぱいいるって言うのに...。
伊「あー、自覚ないパターンか。確かに弱いもんなあ〜...もっかい見せて」
俺の動揺なんてお構い無しに、伊野ちゃんはまた俺の目を覗き込んだ。
伊「ね...デビューしたくない?」
俺の目の真下を親指で撫でながら、不敵な笑みを浮かべる。
有「デビュー...!?」
デビューすれば、今よりお金が手に入る。
家だって借りるどころか買えるだろうし、お母さんの治療費だって払える。
有「したい!デビューしたい...!」
伊「じゃあ、俺に従って」
この日、俺は伊野ちゃんが怖いことを知った。
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れっしー - とても面白かったです。これからも頑張ってください! (2021年1月17日 13時) (レス) id: aa496b1864 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:志乃 | 作成日時:2020年9月22日 9時