ふたり。新生活11【in×ym】 (ページ10)

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結局しばらく経っても春樹が部屋から出てこないから、俺は片付けを涼介に任せて子供部屋に入った。

「春樹、」

『...』

春樹は泣き腫らした顔で部屋の隅っこにいた。

腕にはお気に入りのぬいぐるみ。

正直...かわいすぎる。

「春樹おいで」

『んーん...』

「どうした？何が嫌だった？慧に教えて？」

少し離れたところから優しく言うと、春樹の顔がみるみるうちに歪んでいった。

やがて嗚咽が聞こえて、段々と大きな泣き声になる。

そのままゆっくり立ち上がって俺のところまで歩いてきた。

「よしよし、おいで春樹。ゆっくりでいいからな」

抱きしめてぽんぽんと10分ほど撫で続けていると、次第に落ち着いてきて。

「お話できそう？」

『...あ、のねぇ...っりょおは、はぅ、よりっかぇくんのほぉが、しゅき、なの...っ？けぇ、も...っはぅのこと、きりゃい...っ？』

「ほぇ？そんなわけないよ。涼も、慧も、春樹のことだーいすきだよ。どうしてそう思ったの？」

予想外の質問で思わず尋ねると、春樹は、一瞬俯いた。

『じゅっと、かぇくんばっかぃで、しゃびしかった...っ』

俺は言葉を失った。

楓くんが来て喜んでたから、寂しい思いをさせるなんて考えてもみなかった。

「春樹...ごめんな...」

『う、けぇ、はぅのこと、しゅき...っ？』

「うん、大大大好きだよ」

言うと、春樹は嬉しそうに笑った。