ふたり。新生活11【in×ym】 (ページ11)

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「涼にごめんなさいしに行ける？」

『う...』

春樹が涙目で俯いた。

「春樹、ご飯がしゃんってしちゃったでしょ？涼のことも、どんってしちゃったの、慧知ってるよ？それはちゃんとごめんなさいしなきゃ。

春樹が嫌だなって思ってたことは、さっき慧にちゃんとお話してくれたから100点。慧が涼に春樹はこれが嫌だったんだって言ってあげる。春樹はごめんなさいするだけ。

できそう？」

春樹がこく、と頷いた。

まだ3歳なのにこんなに聞き分けがいいなんて...。

「じゃー行こっか」

『けぇ、おてて...っ』

「ん、お手手繋ごうな」

不安そうな顔の春樹の手をしっかり握って、リビングに戻る。

涼介はとっくに食器を片付けて、楓くんを寝かしつけるところだった。

楓くんを抱っこしてぽんぽんしながら揺れている涼介に、春樹が恐る恐る近づく。

『りょ、お...っ』

『ん？春くんどうしたの』

いつもの調子で涼介が答える。

『がしゃん、して、どん、して、ごめなしゃ...っ』

『...ちゃんとごめんなさいできて偉いね春くん。どうしてそんなことしちゃったの？』

すると、春樹が俺を見上げた。

さっきの約束通り、俺が説明しようと口を開く。

「あのね...『しゃびし、かった...っ』」

俺の声を遮ったのは春樹だった。

『はぅ、しゃびしかった、の...っ』

『そっか、寂しかったか。ごめんな』

春樹、自分で言えた...。