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「どう？大ちゃんとは順調？」
「うん。大貴、本当に私の事好きみたい」
「...へぇ」
「伊野ちゃん？」
一瞬伊野ちゃんの顔に色がなくなった気がして、思わず顔を覗き込む。
「ん？どうしたの？」
伊野ちゃんが首を傾げる。
「あ、いや...」
気のせいかな。
「それよりさ、伊野ちゃんは彼女できたの？」
「俺？俺は彼女なんかいないよ」
そう言って伊野ちゃんは薄く笑った。
「もしかして、私と別れてから一度も？」
「まあね〜」
「じゃあ、好きな人は！？」
聞くと、伊野ちゃんは一瞬目を見開いて笑った。
「...いるよ」
「え、え、どんな人！？」
伊野ちゃんの好きな人ってそう言えば聞いたことがない。
興味津々で私は伊野ちゃんに尋ねた。
「優しくて、かわいい」
「え、なんか普通」
「あ、あと胸がでかい」
「その情報いらない笑」
やっぱり伊野ちゃんは変わってないな。
そうこうしている内に、家の前に着いた。
「送ってくれてありがとう。お仕事頑張ってね」
「あ、ちょっと待って」
家に入ろうとして、伊野ちゃんに止められる。
「ん？」
「LINE、交換しよ」
伊野ちゃんはスマホを顔の横で振った。
「あれ、してなかったっけ」
「こないだデータ消えちゃったの」
「あー。だから送っても既読つかなかったんだ」
「え、何送ったの？」
私はLINEで伊野ちゃんとのトーク画面を開く。
「同窓会の話。結局伊野ちゃん来てたからよかったけど」
「誘ってくれてたんだ」
うん、と頷いて、LINEを開いたついでにQRコードを表示した。
それを伊野ちゃんが読み取る。
「うん、おっけい。ありがとう」
じゃあまた、とあっさり伊野ちゃんは帰って行った。
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作者名：志乃 | 作成日時：2021年8月15日 15時
