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早速明日の準備を始めた。
慧に「何持っていきたい?」と聞くと、「スマホと財布があればいい」と言うので、着替えなど必要最低限のものだけで泊まりの準備は終わった。
そういえば、退院中のご飯は私が作るんだ。
さっき栄養士さんが来てメニューとレシピをくれた。
おかゆも嫌いじゃないけれど、白米大好きな慧は最近「白米がいい〜」と駄々をこねることが多い。
でもしょうがない。今の慧には白米を噛む力も残ってないから。
「慧、そろそろ寝な?明日朝出発なんだし、体力もたないよ」
しかし、慧は首を横に振った。
伊「Aがいる間は...寝たくない...っ」
「なーに言ってんの。明日一緒に寝られるんだよ?」
伊「そうだけどおっ...寂しい...っ」
言いながら、慧がこちらに両手を伸ばしてきた。
私も手を伸ばしてその華奢な体を包み込む。
伊「寝るまで...こうしてて...っ?」
そう言って慧は目を閉じた。
慧の温もりを感じてると自分も寝そうだったけどそこは我慢。
やがてすーすーと寝息が聞こえてきて、身体を離してリクライニングを倒してあげた。
面会時間ぎりぎりまで頭を撫でる。
『最悪の事態も十分有り得ますので』
さっきのお医者さんの言葉が脳内を駆け巡った。
こんなに大好きで、愛おしくて。
半年前の余命宣告から覚悟はしていたはずなのに、溢れる涙を止めることは出来なかった。
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作者名:志乃 | 作成日時:2021年4月27日 10時