神様は綺麗な花を摘む。2 (ページ17)

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伊「でも、死にたくないです。またみんなに会いたい。ライブがしたい。

...だから、僕は全力で病気を治します。待っててください。余命宣告なんて...お医者さんが勝手に言ってるだけだから。

負けないよ。僕は」

ねっ！と私に笑いかける。

いやいや、ファンに向けたメッセージで私登場したら問題でしょ！

慌ててカメラを指さすと、またカメラに向き直った。

伊「とりあえず、状況的には悪い状況ですが、僕は元気です！

絶対絶対またみんなに会うから、それまで寂しい思いさせてしまうかもしれないですけれども...うーん...そうだ、止まってたwebもこれから更新していこうと思うので、これからも伊野尾慧をよろしくお願いします。

それでは、動画見ていただいてありがとうございました。伊野尾慧でした！ばいばーい」

慧は明るく笑って録画ボタンを押した。

カメラをしまいながらずっと微笑んでいるけど、一言も喋らない。

「...慧？」

伊「んー？」

「泣いて、いいんだよ」

慧の動きが止まる。

しばらくしてはっとしたように首を横に振り、カメラを私の鞄に入れた。

伊「泣きたいのはファンのみんなだよ」

「ファンのみんなだけじゃないでしょう？」

伊「俺はもういっぱい泣いたもん...もう泣いちゃいけない」

「そんなことない」

慧はまた首を横に振りながら俯いた。

肩が震えている。

伊「ああもう...っ俺が泣いちゃだめなんだって...っ」

その小さな小さな肩を包み込むようにして抱きしめると、私の肩がじんわりと濡れた。