神様は綺麗な花を摘む。2 (ページ13)

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「そんなに泣いたら苦しくなっちゃうよ」

伊「ん...っ」

ようやく慧が顔を離す。

「朝ご飯、和食だから」

伊「...やったあ」

慧は上目遣いになって、泣きはらした目でふわりと笑った。

「ちゃちゃって作っちゃうから、テレビ見てて」

伊「はあーい...あ、」

「ん？」

慧はテレビをつけて小さく声を上げた。

キッチンからテレビを覗いてみる。

すると、放送されていたのはめざましテレビだった。

三『本日も、木曜パーソナリティの伊野尾慧さんは、体調不良による活動休止のためお休みです』

テレビの中で三宅さんが言う。

伊「そうだ、今日木曜日だ」

「...出たい？」

呆然とテレビを見つめる慧に尋ねる。

伊「...そりゃあね」

私はずっと思っていたことを言ってみることにした。

慧はきっと反対するけれど。

「...慧」

伊「ん？」

「ファンの子に、今の状況伝えない？」

慧が振り返る。

伊「だめだよ、それだけは...っ」

「でも、慧がこの状態っていうのは、ほぼバレちゃったし...それなのに何も言わずに半年間も、逆に心配にならないかな」

俯いた。それからまたテレビの画面に目を向ける。

伊「言った方がいいのかな」

「私がファンだったら...ちゃんと知りたいよ」

慧はそのまま黙ってしまった。