神様は綺麗な花を摘む。2 (ページ12)

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朝起きると、慧は既に起きていて着替えて車椅子に座っていた。

伊「おはよ、A」

「慧...おはよ、ごめん寝過ごした...」

伊「まだ6時半だから大丈夫。そんなことより服着てね」

にやにや笑いながら慧に言われて、自分の状況に気づく。

そうだ、昨日...。

急いで脱ぎ捨ててある服を引っ掴んでとりあえず着た。

伊「今日、帰らなきゃいけない...病院」

「午前中は自由にできるよ。何しようか」

伊「家にいよう。暇すぎて、時間過ぎるの遅いってくらい、何にもしないで、ずっと隣にいて？」

私は頷いた。

暇でも退屈でも、慧と一緒にいれればいいんだから、ならできるだけ時間を長く感じられるようにって。

朝ご飯を作ろうとキッチンに行くと、慧も車椅子のタイヤを回してついてきた。

「本当にずっと隣にいるんだね笑」

伊「離れたくないもん...」

そう言って慧は私の腰をぎゅっと抱きしめた。

「ちょっとー。包丁使ってるんですけどー？」

伊「んー...」

頭をすりすりと擦り付ける。

私は一旦包丁を置いて、その頭を抱きしめた。

伊「帰りたくない...」

腰が濡れる感覚がした。

「けーい。最後の日に泣かないの」

伊「だって...っ」

「私だって泣くの我慢してるのに...つられちゃうでしょ...っ」

それでも慧は肩を震わせて泣いていた。

私も寂しくて、泣いている慧を見るのが悲しくて、涙が止まらなかった。