【黒バス】孤高の君に忠誠を【洛山】

24話 ページ26

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開始した練習。

強豪校ならではの激しく、厳しい練習。

基礎練習も大切にしているが、試合が近い今は連携のためのチームプレイの練習が多いようだ。

Aはその練習には入らない。

違うチームであるAが入ってチームが築いてきた連携、その輪を乱しても困るからだ。



選手の動き、運動量、連携時の息の合いようなど。

司令塔の指示と、それに応え可能とし、実現させる選手の身体能力。

Aはそれを頭の中に記憶しながら。じわり、頬に伝う汗を拭いた。





笠「なんつーか、アイツって普通、だよな」

黄「Aっちっスか？」

森「可愛い顔してるよな」

小「手ェ出すなよ、森山」

早「狙って(る)んすか！？も(り)やま先輩！」

中「先輩の名前くらいちゃんと言えよ、早川」



黄「無理っスよ、俺が誘ってもなびかないし」

「「「そうだろうな」」」

黄「Σ酷い！！」

笠「その前にAは男だろーが！」



黄瀬の頭を叩いた笠松は、ため息をひとつ。

Aを横目に見ながら、話を戻した。



笠「派手さがねぇってことだよ。全体的に完成度が高いのはわかる。だが…」

黄「何かが飛び抜けてるわけじゃない、ってことでしょ？笠松先輩」



最初のフットワークから始まる基礎練からボールを使った対人練習に至るまで。

筋力は劣っていても、それを立て直し、矯正する体幹の強さ。

オフェンスのカットやドリブルでの1対1の突破力。

ディフェンスの喰らい付く足腰と、反応するだけの瞬発力。

ボールキープのためのハンドリング技術は言わずもがな。





素人目で見ても分かるであろうほどに、Aの選手としての完成度は恐ろしく高い。





黄「確かにAっちはキセキの世代(俺たち)みたいに飛び抜けたひとつがあるわけじゃない」



言うなれば、堅実なプレイスタイル。



黄「俺も正直、それがAっちの本当の実力かどうかは知らないんス。ずっと力をセーブしてるし、今だって全力を出してなんかいない。

それでもAっちは、負けないんスよ。これまでだって、ずっと。俺も勝ったことはないんスよ」



黄瀬が勝ったことがない、という事実に笠松達は息を呑んだ。



黄「Aっちにあるのは【従者(バレット)】としての主への忠誠だけっス」



選手として完成された技術、そしてインプットされた情報、頭脳を駆使して相手を潰す。







黄「どんなことがあろうとも……
【従者(バレット)】は主のために道を開く」



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