37 愛憎劇 ページ38
「おやおや、酷い顔だねぇ。」
わざとらしく明るい声が聞こえて、わたしは振り向いた。そこにはリカバリーガールこと婆婆、もしくはお婆ちゃんがいる。
「何か？」
「あんたが怖い顔してたから声かけただけさ。」
飴いるかい？と言われて私は首を降った。残念ながらペロペロキャンディー派の人間だ私は。そう考えながら私は足早にその場を去ろうとする。
「それじゃ、私勉強教えてもらってくるんでェ」
「生憎今会議中だよ。」
「ま？」
「ほんとさ。」
思わずマジで？ではなくま、と聞き返したのは仕方がないと思う。タイミングが悪すぎる、いやはや本当に。
「保健室で涼んでくかい？塩飴あるよ。」
「なんで飴ばっか・・・」
見た目的に飴だろ？と笑うお婆さんになんだかイライラきて唇を噛む。最近なんだかイライラしてる、ショッピングモールの日からだろうか。それとも相澤さんに嫌なことを言われた日からだろうか。
何かを忘れているような、焦燥感。
「そんな怖い顔しなさんな、美人なんだから。」
ふにゃり、と笑うお婆さんに毒気が抜かれていく。無抵抗に見える笑顔、手を伸ばせばすぐに届く首筋。力の弱そうな手、ちいさな声、小さな体。
「お婆ちゃんみたいなこと言うんですねェ。」
「年相応だろ？」
定年退職は先だけどね、と付け加えるお婆さんを見て唐突に湧く嫌悪感。
その笑顔がなんだか苛立つのだ、その呑気な声に腹が立つ。こいつに心配されていると思うと、酷く惨めになる。
どうしてなのだろう。リカバリーガールとは大して絡みもなければ話した記憶もないのに。一体どうして。
この胸は、このからだは、この心は。今すぐにでも殺してやりたいと叫ぶのだろう。
「あゝ・・・本当に。」
祖母みたい。
呟いた言葉がストンと胸のうちにハマった。祖母、祖母だ。リカバリーガールはあの老害に似ているのだ。血縁者であり恥さらしであり汚点であり汚物であり邪魔者であり偽善者だったあの老害に。
だからこんなにも、殺したくなる。あの日みたいに。
忘れていた、忘れていたことだ。之は私の忘れ物。置いていってしまった思い出、意識しなかった思い出。
激しい憎悪と嫌悪と絶望感を抱え込みたくなくて、意識して忘れていた記憶。
(思い出したくないのになァ。)
嫌というほどリカバリーガールとあの老害は似ているように見えて、思い出したくなくても記憶の蓋はあき、濁流のように流れ込んでくる。
本当に、嫌な忘れ物に気づいてしまった。
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アヤ(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます！平ちゃん可愛い、久々に言われました…！無理せずしっかり頑張ります！ (2018年12月27日 18時) (
レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎 - すごい！この作品！とても好き！すんごく面白いです！！中也さんがかっこよくって平ちゃんが可愛くて…もう…もう！応援してます！無理しないで頑張ってください！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - ヒバリさん» ありがとうございます！かっこいいと言っていただけると安心します…かっこよくかけてるか不安になるんですよねー。これからも更新頑張ります！ (2018年12月23日 20時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ヒバリ - ちゅーやさんちょっとイケメンすぎやしません？アヤさんのちゅーやさんかっこいいです！これからも更新楽しみにしてまふ。 (2018年12月23日 14時) (レス) id: 60878f7a2d (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 本の虫さん» ありがとうございます！完全な個人のプライベートで番外編やってすいません、これからも頑張ります！ (2018年11月6日 0時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
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