27 怖いんです ページ28
(あゝ、其の程度で苦戦しちゃうんだ・・・)
正直絶望的に弱い。本当に呆れるくらいに弱い。
だって爆豪くんはあんなにもがら空きなのに。首も背後も手足もがら空きなのに、どうしてそこをさせないのだろう。
今の爆撃は避けれたでしょ。と内心つぶやく。ボロボロに何故かなっているお茶子ちゃんは顔が必死だ。何でだろ。
そんなにボロボロなら諦めればいいのに。勝てないんだから。
爆豪くんは攻撃をやめない。ボロボロで何度も立ち上がるお茶子ちゃんに更なる爆撃、でもお茶子ちゃんは立ち上がる。
(ワンちゃんなんてあるわけないのにさァ。)
どうしてこうも、此方の人は夢と希望と努力と勝利なんていう陳腐でゴミのようなものを信じられるのか理解できない。
そろそろ周りも見飽きたのか、溜息やブーイングがところどころ聞こえてくる。どこかの席で誰かが叫んでいる。
「大丈夫かな・・・」
「やばくない？お茶子ちゃん何か、こう、燃え尽きちゃいそうというか・・・」
「手加減なしかよあいつ。」
この程度なら勝てると思った。素手で勝てる、間違いなく。
個性を使わず勝ったように見えれば。きっと注目が集まるだろう、新聞にもネットにもテレビにも映るだろう。
そしたらきっと、あの上司の目にも止まるから。
だから私は、注目されたい。
弁解したい、巻き返したい、負けたくない、自分の意思で自分の力で。
未来を掴み取ってみたい。
色々理由はある。言い訳じみたものもある。
親を殺したから、祖母を殺したから、人殺しだから、人を殺すのが楽しいから、幸せを奪うのが楽しいから、合わないから。
でもやっぱり私はどこかでヒーローもいいかもとか思ってたりもする。
だってそんなの関係ないって割り切っちゃえばいい話だ。振り切ればいい話だ。
でも私がそうしないのは・・・
「うおっ！」
「え、気付かなかった！」
驚きの声が上がった。ステージの上、二人の上空。
そこには、爆豪くんが爆破し続けた地面の石が浮いている。
周りが興奮する、ワンちゃんあるかもとか思っているのだろう。
馬鹿だなァと私は笑う。圧倒的強者の前では小細工なんて無意味なのだ。
私がそうしないのは、ヒーローが怖いからだ。
人のために動くことが怖い、誰かのために命を投げ出すことが怖い。
だから私は奪う側がいい、奪う側に戻るために。
私は、あの上司に抗議してやるのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 317人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アヤ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます！そろそろ職場体験編に入りますのでご期待ください！ (2018年3月12日 23時) (
レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - この作品大好きです！いつも楽しみにしています。頑張ってください！ (2018年3月12日 19時) (レス) id: 9b14fd56ac (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - dtabosuさん» ありがとうございます！頑張らせてもらいます！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
dtabosu(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(´▽｀*) (2018年3月3日 16時) (レス) id: c216431e1a (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 瑞稀さん» ありがとうございます！夢主の性格が気に入っていただけるのは本当にありがたいです。こんなブラックな夢主ですがこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月3日 11時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
