22 傍観者の物語 ページ23
父と母は優しかった。
仕事は詳しくは知らないけれど、悪い大人と手を組んで悪い大人を騙すお仕事だ。
つまりは悪人専門の詐欺師、詐欺師の夫婦の娘が私。
そんな両親は、数ヶ月前悪い人たちに殺された。
目の前で飛び散った血飛沫も、苦しそうな断末魔もよく覚えている。けれど一番記憶に残っているのは。
両親を殺した奴の、女の顔だ。
紫色の髪と白い花の髪飾りに血飛沫がつくのも気にせず片手に持った包丁で刺して刺して刺していく。
助けてと、母は言った。死にたくないと、父も言った。それを嘲笑うかのようにその女は二人の命が消える様を見せつけてきた。
ニヤリとした笑顔なのに、目は人形のように無機質だった。
助からないと思った。私では助けられないと思った。
咄嗟に駆け出した私が家を出るときに最後に聞いた一言をよく覚えている。
「追いますか？」
「任せるかなァ、まァ生きてたほうが一生苦しむだろうし面白そうだけど！」
あゝ、私は覚えてる。確かにまだ小学生の子供の私だけれどその言葉の意味がわからないほど馬鹿じゃない。
生かしておいたほうが苦しむ、とあいつはいった。
そして面白そうとも言った。
人の命をなんだと思ってるんだとキレてやりたかった、力がないのが悔しかった。
よく分からないままに何かに吸い込まれて知らない景色があって、警察に保護された。
よく分からないままに聞かれたことに答え、孤児院に入れられた。
そしてあの女が此方に来ていた。
笑っていた、息をしていた。平然と当たり前のように存在していた。
その女が今、テレビに映っているのを孤児院にあるテレビで私は見ている。
その女が、ヒーローという正義の体現者を育てる学校にいるということを私は知った。
私は唇を噛む。悔しい、悔しい、悔しい。
どうして人殺しがヒーロー科にいるの、どうして？警察はどうしてこの女を捕まえないの？どうして当たり前のように生きてるの？
悔しい、悔しい、悔しい。
この女の存在があること、それが恨めしい。
「・・・平、A。」
彼奴の名前を呟いてみた。仲良くなった子たちから私はその人を応援してるの？と聞かれる。
違う、違うよ、そうじゃないの。
「別に、応援してない。」
無様に負けてほしい、死んでほしい。
憎くて憎くてしょうがないの。
神様がいるとしても、死んだ人を返してなんて無理な話だろうから。
だから神様お願いします
この女を殺してください
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アヤ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます！そろそろ職場体験編に入りますのでご期待ください！ (2018年3月12日 23時) (
レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - この作品大好きです！いつも楽しみにしています。頑張ってください！ (2018年3月12日 19時) (レス) id: 9b14fd56ac (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - dtabosuさん» ありがとうございます！頑張らせてもらいます！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
dtabosu(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(´▽｀*) (2018年3月3日 16時) (レス) id: c216431e1a (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 瑞稀さん» ありがとうございます！夢主の性格が気に入っていただけるのは本当にありがたいです。こんなブラックな夢主ですがこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月3日 11時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
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