15 八つ当たり ページ16
「あゝ、そっかァ。
ごめんごめん、轟くんは緑谷に対して言ったわけであって私に対していったわけじゃないから同情とか求めてないもんねェ。
盗み聞きしちゃってごめんよ！」
てへ、という効果音がつきそうなほどの憎々しい笑顔で私は笑って手を合わせる。
「じゃァ私帰るわ。お邪魔しちゃってごめん」
「平。」
そそくさと帰ろうとした私を轟くんが制す。
「さっきの、意味が知りたいんだが。」
「意味も何もないよ？単純に私はそう思いましたという感想だけだし。
緑谷がどう感じたかは知らないけれど私はそう思った、それだけ。そういう捉え方もできるってことだよ？」
なんだか意外、という感じだ。轟くんは落ち着いているイメージがあるから暴力が愛情表現という可能性にも行き着くかと思っていたけれど。
(・・・いや、違う。)
暴力を愛情表現と思う私が異常だ。
でも、異常な人間は周りが異常に見えるとも言う。
私には轟くんが異常に見えた、異常に聞こえた。
何故あんな質問を私はしたのだろうか。もしかしたら私が異常だという裏付けでもとって安心したかっただけなのかも。
異常じゃないと、犯罪者じゃァいられないから。
「お前がもし同じ立場だったとしたら、愛情表現で済ませるのか？」
轟くんが聞いてきた。
どこか不思議そうで、なんだか苛立っているようにも見えた。
自分ができることを他人ができないとイライラするのが人間だからしょうがない。私だってしょうがない。
私は愛情表現だと思っているのに其れを轟くんはただの暴力だと思っているなんて。
「だって親だよ？一生懸命産んでくれて育ててくれた親だよ？
私は嫌いになんてなれないなァ。今でも大好きだし。」
殺してしまうくらい、と心の中で付け加える。私は、絶対に両親を嫌いになんてなれない。
「じゃァ今度こそばいならー。ぶつかったら宜しくね。」
「え、あ、うん。」
「・・・ああ。」
そう言ってその場を立ち去る。帰りはスキップしながら。
財布が再び音を立てる。自動販売機まではもうすぐだ。
「何でかなァ。」
一人つぶやく。
「何で嫌いになるのかなァ。」
殺されかけても捨てられかけても私は嫌いになれなかったし、私が悪いと思っていた。
だけど同仕様もなく大切な親だから離れたくなくて私は殺したのだ。
自分が異常だと、思いたいような思いたくないような。
矛盾を抱えながらスキップし続けた。
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アヤ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます！そろそろ職場体験編に入りますのでご期待ください！ (2018年3月12日 23時) (
レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - この作品大好きです！いつも楽しみにしています。頑張ってください！ (2018年3月12日 19時) (レス) id: 9b14fd56ac (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - dtabosuさん» ありがとうございます！頑張らせてもらいます！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
dtabosu(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(´▽｀*) (2018年3月3日 16時) (レス) id: c216431e1a (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 瑞稀さん» ありがとうございます！夢主の性格が気に入っていただけるのは本当にありがたいです。こんなブラックな夢主ですがこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月3日 11時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
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