11 救いの掌 ページ12
「・・・はァ。」
目の前で繰り広げられる熾烈な争いを、緑谷と轟くんの必死の戦いを見ながら私は半眼で溜息をついた。
「もしかして混ざりたかった？」
「冗談やめてくれる？」
「怖っ。真顔で言うなよ。」
思わず真顔で笑顔も作らず呟いてしまいまい、少し後悔する。
(・・・演技力も落ちたなあ。)
「あゝ、ごめん。ちょっと今すごく苛立ってる？の、かな？」
「・・・何で疑問系？」
「分かんない。」
氷を、炎を出した轟くんを見る。様子が可笑しい、彼らしくないといえば彼らしくない。
いつもの彼なら緑谷が接近した時点で何か手を打っていてもおかしくないのに。
(轟くん、やっぱり炎使えるんじゃん。)
酷く。羨ましい。
「轟凄いな。」
「ねェ。でも炎出してから動き鈍くなった？それとも炎が奥の手だったとかかなァ。・・・じゃァすごいね緑谷。」
雑魚のくせに。と小さく呟いて私は深呼吸する。
吸って吐いて、気持ちを落ち着かせる
「緑谷ってそんな弱いの？」
「弱い。」
私は断言する。間違いないと断言する
「気弱で抗えなくてそこそこ幸せなくせに幸せじゃないと思っていて痛みも辛さも怖さも知らないくせして偽善者ぶって聖人ぶって・・・本当に、嫌い。」
あの日の出来事が脳裏をよぎる。
緑谷出久は覚えていない。私だけが、世界で私だけが覚えているあの瞬間を。
「苛つく。祝福されてる人間は、ゴミより苛つく。」
驕り高ぶる奴等より、質が悪い。
幸福なくせに、それ以上を求めて。無い物ねだりを繰り返して身を滅ぼすような愚か者。
「彼奴に心配されるほど私は・・・」
弱くない、と言おうとしたけれど心操くんと目があって私は口をつぐんだ。
彼の目は。
彼の、目は
「・・・大丈夫、か？」
異質なものを見る目だった。
『貴女が、貴女だけが頼りだったのに！』
『化物よ！あの女私の娘まで化物にした！』
甲高い声が耳の中で暴れまわって、思わず足元がふらついてしまう。
「あ、おい。」
「っごめん、ちょっとヤバイかも。」
「ストレス？」
「多分。ねェ、私先刻」
どんな顔をしていた？と私が聞くと彼は少し戸惑っているような表情をした。
「ねェ。」
「・・・どんな顔もしてなかったよ。ただただ無表情で、人形が喋っているみたいだった。」
それを聞いて私は
ーーークスリと、笑った。
「ありがと。其れ最高の褒め言葉。」
人形なのは、まァ間違いじゃないだろう。
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アヤ(プロフ) - 椿さん» ありがとうございます！そろそろ職場体験編に入りますのでご期待ください！ (2018年3月12日 23時) (
レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
椿 - この作品大好きです！いつも楽しみにしています。頑張ってください！ (2018年3月12日 19時) (レス) id: 9b14fd56ac (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - dtabosuさん» ありがとうございます！頑張らせてもらいます！ (2018年3月3日 23時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
dtabosu(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみにしてます！頑張ってください(´▽｀*) (2018年3月3日 16時) (レス) id: c216431e1a (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 瑞稀さん» ありがとうございます！夢主の性格が気に入っていただけるのは本当にありがたいです。こんなブラックな夢主ですがこれからもよろしくお願いします！ (2018年3月3日 11時) (レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
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