Bijoux＿histoire

emerald国―ラネン編― ページ7

『ねぇ兄ちゃん』
部屋に戻ると、目を腫らしたシキャッドが、シスフェットに話しかける
『どした？』
同じように目を腫らしたシスフェットがそう答える。
『ラネン、って、何かな』
シキャッドは、女王の＜ラネン＞という言葉を
理解できずにいた。するとシスフェットは
『あぁ、そりゃ毒持った花のことだよ。この国にしか咲かない、貴重な花なんだ』
と、迷わずそう言った。
そして、
『それがどうかした？』
と続けた
シキャッドは
『母様が息を引き取る前、僕に言ったんだ。もしかしたら母様は、ラネンに触れてしまったんじゃ…？』
と、自分の緑色の髪を撫でながら言った。
『いやでも、ラネンの毒は食べたときにしか…』
シスフェットは顎に手をあて言う
『母様はラネンの存在を知っていたんでしょ？なのに食べた…？いや、食べさせられたとか？』
シキャッドがそう言うと、シスフェットは
『そもそも母上の死因にラネンは関係しているのか？もしかしたら他の、何かを伝えようとしたんじゃ…』
と言った。そして、
『…んんあぁぁああぁぁぁぁ!!!!!頭痛いっ!!!!!』
と続けた。
『今日はもう寝ようか。』
どちらが発した言葉かはわからない。
その言葉が合図だったかのように、
二人とも布団に入り、眠りについた。

――――二人は、同じ夢を見た。

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