diamond国―クロウェール編― ページ36
ユティメノの部屋をあとにしたクロウェールは、
廊下で少し考えた。
『ユティメノの親って…』
顎に手を当てそう呟くと、背後から声が聞こえた。
『×されたのよ。ruby国の女王に』
慌てて振り返ると、そこにはピノメリアがいた。
『びっくりした…。なんだ、姉ちゃんか』
ピノメリアからすると、クロウェールは大して驚いたようには見えないほど真顔だった。
だがピノメリアは、クロウェールが振り向く直前に少しビクッとしたのを見逃さなかった。
『ごめんね、驚かせるつもりはなかったんだけどね』
と、微笑みながら言う。
『ううん、大丈夫。でも姉ちゃん。×された、ってのは?』
クロウェールが苦笑してそう言うと、
『だから、ruby国の女王に×されたのよ。正確には、一個前の女王だけれどね』
ピノメリアは笑顔を崩さずそう言う。
発している言葉が物騒だからか、
少し不気味にも感じる笑みだ。
『ユティメノに初めて会ったとき、話したじゃないの』
ピノメリアはそう続ける
『あれ、そうだったっけ』
『そうよ〜。まぁ四年前だしね、覚えてなきゃいけないことでもないし』
『ふーん…。そういやぁさ、さっきまでユティメノと本を読んでたんだけど、あの本っていつからあったっけ?』
クロウェールは、“興味がある”とは言えないような顔…簡単に言うとくだらないことを聞いている、といった顔で、ピノメリアに尋ねた。
『本?』
ピノメリアは、髪同様、綺麗な七色の瞳を丸くして尋ね返した。
クロウェールは、
『そうそう。なんか目と耳が悪い王子の話』
“他にも、メイドの話があったな”と、
邪魔な髪を耳にかけながら言葉を付け足した。
『あぁ〜、あの本ね。あの本、ページが破れていたでしょう。読めたの?』
ピノメリアは口元に手をあて、優雅に微笑みながらそう言った。
『うぇ?破れてたの?全然気付かなかった。』
クロウェールは困ったように笑った。そして、
『あれ、続きあるんだ。どんな?』
と尋ねた。
『なんだったかしらね。確か、“シキャッドの目が見えるようになっていたのは、garnet国の女王様がラネンを食していたから”、とか…』
顎に手をあて、空を見つめる。
そして、
“あぁ、あの本がいつからあるのか、って話だったわね!”
と笑いながら続ける。
『あぁ、そういうことだったんだね。で、いつからあるの?』
クロウェールはピノメリアの目を少し見つめた後、
『結構前なら覚えてるわけないか』
と微笑んだ。
やはり姉弟。笑った顔は、どこかピノメリアに似ていた。
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あや(プロフ) - 百亜さん» なにがかな?() (2018年5月29日 18時) (レス) id: be165192c8 (このIDを非表示/違反報告)
百亜 - あっ、あっ、、ああああ、なんかフラグ← (2018年5月29日 17時) (レス) id: f7d2a26b19 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - ^._.^さん» うぇええええあぁぁぁぁありがとうございます!!!!! (2018年5月26日 19時) (レス) id: be165192c8 (このIDを非表示/違反報告)
^._.^ - イメージして貰えたことを知ってるって事ですね、僕だったらすごく嬉しくなると思います!…お言葉に甘えて質問させていただきますね^^ (2018年5月26日 19時) (レス) id: f34247d7f4 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - ^._.^さん» こちらこそコメントありがとうございます!!!許可をもらったりとかはちゃんとしてあります(聞いてない) キャラクターに質問とかあったら、是非、続編へのリンクのところからきてみてください!! (2018年5月26日 18時) (レス) id: be165192c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢幻 錏鵺 x他1人 | 作成日時:2018年4月1日 12時