シンデレラガール (ページ2)

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◇始まりページ2

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木曜日の午後。

「お迎えにあがりました、A様」

今日も長い長い授業を乗り越え、雨が降りそうだから洗濯物を取り込まないと、なんて考えながら歩いていると、校門を出てすぐの所で黒いスーツの男の人に声をかけられた。

傍にはいかにも高そうな車が待機していて、下校中の生徒の視線が痛いほど背中に突き刺さる。

「あの、人間違いじゃ、」

「いいえAA様、あなたで間違いありません」

明らかに住む世界が違う人で、縁があるはずがないと思ったのにお兄さんが口にしたのは確かに私の名前だった。

私を解放するつもりはないみたいでどうしたものかと周りを見回すと、ちょうどこちらに歩いてきている幼馴染の姿を見つけた。

「斗亜！！」と声をかけると友達と別れて小走りでこっちに来る。驚いたように私とお兄さんを交互に見ながら近づいてきた。

嶋﨑「Aやん
こんなところでどうしたん？」

知らない人に絡まれて助けてほしいというと一気に目が変わる。

嶋﨑「あの、誰か知らないんですけど
Aに手出さないでもらえますか？」

いつもは可愛いのにこういう時頼りになるんよ。

無表情を貫いていたお兄さんも、斗亜の気迫に圧倒されたのか「ついてきてもらわないと困るんです」と少しだけ表情を崩した。

嶋﨑「Aどうするん？
…あとお義母さんたちも大丈夫なん？」

斗亜は私の家の事情を知っている。
継母と義妹に虐められていることとか。

それに、さすがに私も高校生だから知らない人について行ったらいけないことくらいわかってる。

…でも、もしかしたら今の暮らしを変えられるかもしれない。

シンデレラとまではいかなくても、勇気を出すことによって何か変えられるかもしれない。という淡い期待が心のどこかにあって

「と、斗亜も一緒でいいなら行きます！」

気づいたら私はそう言っていた。