小児科医の日課〜研修医、平野紫耀の経験記録〜【伍】 (ページ28)

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紫耀Side

『母の病気が分かったあと、一週間も経たずにすぐ治療を進めることになりました＿＿』

部屋に規則的な機械の音と、自分の淡々とした声だけが響く。

玉森先生は、静かにじっと見つめるだけ。

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『紫耀ー、購買行こー！お前が好きな“ぬれおかき大福パフェ”取られちゃうぞー』

四時間目終わりのざわついた教室で、友達が腕を首に回してくる。

『わり、今日俺パス』

友『えぇ～、なんでだよー、いっつも食べたい食べたいって言ってたやん』

『だからごめんって。今日は行かなきゃならないとこがあんの』

友『それって…』

爽やかイケメンの顔が一変、獲物を捉えたオオカミのような目つきで見てきた。

友『女？』

間髪を入れずに“抜け駆けは許さねぇって言ったよな？”と低音で続けるのがガチで怖い。

『なっ、ばかっ！！ちげぇよ！』

友『じゃあなんでそんなにお顔が真っ赤なんですかぁ？』

『だから普通に女とか彼女とかそういうんじゃなくて、！』

友『女でも彼女でもない？じゃあ誰だよ？名前は？クラスは？どこのコースのどこの女だぁぁぁぁ！！』

『違うって言ってんだろー！！！』

こうなったらもう遅い、完全に教室内鬼ごっこの始まり。

普通にバカみたいって思うかも知んないけど、至って通常運転だから(笑)

＿＿ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ

『失礼します』

階段を上がってまっすぐ奥に進んだところの教室のドアを3回ノック。

友達との白熱鬼ごっこを終えた末、俺はある人に会うためにやってきた。

ただ、、、、

生徒『何か御用ですか？』

ドアを開けた瞬間に、黒縁メガネをかけたいかにも優等生っぽい女の子が声を掛けてきた。

『あ…えっと、その…』

ドアを開けたときから思ってたけど、みんなが俺のこと見てる？？

視線が、、、空気が、、怖い。

なんて言えば良いんだろう、俺がいつも過ごしてる教室とは違うというか、なんというか……

静か。

すっごい静か。

教室の奥の方ではもう、よくわかんない本とにらめっこしてる人いるし！！

生徒『あの…用がないんでしたら…』

『響煌(ひびき)、さんって人いますか！！』

え？なに？俺なんか変なこと言った？？

すっごいみんながこっち見てくるよぉ…。

できる限り小さめな声で言ったつもりだったんだけど、ダメ？？

男子生徒『あ、あの！僕のこと、、ですかね？？』