泣き虫な弟【番外】 ページ8
離婚話が進む中、潤くんは二人に任すって母さんと父さんに言ってた。
――また無理しちゃって。苦しむのは自分なのに。
そのやり取りをソファに寝転んでゲームをしていた俺は黙って聞いていた。
あれから数日。
学校が終わって自分の部屋に居ると、潤くんが泣きそうな顔を浮かべて入ってきた。
そろそろ限界だったみたい。
潤「嫌だよ！母さんと和にぃと離れるのはヤダ！」
和「こればっかりは、しょうがないよ」
潤くんは父さんの実家に一緒に行く事になってた。
俺は母さんと一緒にここに残る。
俺と潤くんは引き離される。
潤「みんなと、離れたくないよ・・・！」
和「・・・そう言や良かったのに」
潤「今さら・・・。何言っても、もう・・・」
和「・・・じゃあ、諦めるしかないんじゃない？」
潤「そう、だけど・・・。でも、俺・・・」
潤くんの目から涙が零れた。
ずいぶんと久しぶりに見た涙。
もう中学生になるんだからって我慢していた涙だ。
和「・・俺、二宮和也になるんだって。
戸籍上、母さんの苗字になるんだって学校に行く前に母さんに言われた」
潤くんの目からポロポロと涙が零れだして、糸が切れたみたいに声を出して泣き出した。
俺の腕の中で涙を零し続けた。
和「・・・・母さんとちゃんと話そう？」
潤くんは俺にしがみ付いて、首を何度も縦に振った。
泣き疲れた潤くんを俺のベッドに寝かせて、赤い痕がついた目尻をそっと撫でる。
どのくらい時間が経ったんだろう。
少し呆けていると、玄関が開く音がした。
母さんが仕事から帰って来た。
リビングに居ない俺たちを呼ぶ声が聞こえる。
その声に反応した潤くんは、薄く目を開いてゆっくりと起き上がった。
潤「母さん・・・？」
和「うん。もうそんな時間になったみたい」
母さんの作った夕食を食べ終わっても父さんは帰って来なかった。
父さんは一人で実家に行くって聞かされた。
潤くんは"二宮"の苗字にするか聞かれた。
だけど、そのままでいいって言った。
父さんの苗字でいたいって。
母さんに抱きしめられた。
大きくなったと思ってた俺の体はすっぽりと入った。
久しぶりの母さんの腕の中はすごくあったかかった。
涙が止まらなかった。
潤くんは少し驚いてた。
今日だけ。
もうこれから泣かないって誓うから。
だから、今日だけは――――。
今までの分、
いっぱい、いっぱい泣かせてくれる？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真珠(プロフ) - _____奏音 .さん» あああああありがとうございます！（震え）ご期待に添えるよう精進していきます！(o^∇^o)ﾉ (2014年3月4日 18時) (
レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
_____奏音 . - 真珠さん» そんな ! ついていきます !笑 (2014年2月25日 22時) (レス) id: 3cfb3d1573 (このIDを非表示/違反報告)
真珠(プロフ) - _____奏音 .さん» あの、亀更新ですが・・・(´д｀；) これからもよろしくお願いします！ (2014年2月25日 18時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
_____奏音 . - 真珠さん» あひゃ♪(( ふふ、うちもまた話せてうれしいです ! (2014年2月25日 17時) (レス) id: 3cfb3d1573 (このIDを非表示/違反報告)
真珠(プロフ) - _____奏音 .さん» 以前から来てくれた読者にまた来てもらえるとは・・・！嬉しすぎて昇天しそうです！(吐血) (2014年2月23日 18時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真珠 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/sinnjunino
作成日時：2013年10月29日 1時
