―12―【磁石編】 ページ13
和「翔さん、ここは？」
翔「ん？あぁ、これはこの方式で―――」
和「ここは？」
和は特別勉強が出来ない訳じゃない。
テストの順位も中の上といったところだ。
けど、和は俺の家に来て勉強する時はやたらと質問をしてくる。
和「じゃあ、ここ」
翔「そこは――――」
とんでもなく無駄な時間。
だけどその無駄が贅沢に感じる。
ノートを覗き込んでいるから自然と肩がピッタリとくっ付く。
和が瞬きをする度に長い睫毛がパチパチと動く。
時々チラッと俺の顔を見る姿が可愛らしい。
こうして二人きりの時間を過ごすのは久しぶりだ。
この際、聞いてみるか？
いや、でもな・・・。
和「気になってんの？」
翔「えっ？」
和「あの二人のこと気になってるんじゃないの？・・・違う？」
翔「いや、違わないけど・・・。よく気付いたな？」
和「ふふっ、だって翔さん上の空なんだもん」
和は頭を上げずにひたすらペンを動かしている。
少し覗き込んでみると数式を解かずにノートの端にラクガキをしていた。
和「あの二人付き合うのかなぁ。・・・ま、好き同士なんだしそうなるか」
和は自分に言い聞かせるように呟いた。
やっぱり複雑だよな。
弟が友人と付き合うんだもんな。
しかも相手は男だし・・・。
和「翔さんはさぁ、何で俺なの？」
翔「え、今さらそこ聞きますか・・・」
和は左手で器用にくるくるとペン回しをしている。
俺の目を真っ直ぐに見つめてくる。
心なしか戸惑う俺の反応を見て楽しんでいるようだ。
俺は深い溜息を一息ついた。
翔「えっと、そもそもは女の子を好きになってたよ？でも、何でだろうな・・・。
ㅤいつの間にか・・・好きになってた、よ？」
和「んふふふ。疑問系なの？」
翔「ほんと、気付いたらなんだって！だから・・・今こうして居られるのが不思議なくらい」
好きになったのは俺のほう。
告白したのも俺のほう。
どうして好きになったのか。
そう聞かれると困ってしまう。
本当に、気が付いたら好きになってたんだ。
男同士なんて事は分かってる。
そう簡単に乗り越えられない壁だって事も。
でも不思議と・・・。
不思議と、和となら軽々と乗り越えられるような・・・
そんな気がしたんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 146人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真珠(プロフ) - _____奏音 .さん» あああああありがとうございます！（震え）ご期待に添えるよう精進していきます！(o^∇^o)ﾉ (2014年3月4日 18時) (
レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
_____奏音 . - 真珠さん» そんな ! ついていきます !笑 (2014年2月25日 22時) (レス) id: 3cfb3d1573 (このIDを非表示/違反報告)
真珠(プロフ) - _____奏音 .さん» あの、亀更新ですが・・・(´д｀；) これからもよろしくお願いします！ (2014年2月25日 18時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
_____奏音 . - 真珠さん» あひゃ♪(( ふふ、うちもまた話せてうれしいです ! (2014年2月25日 17時) (レス) id: 3cfb3d1573 (このIDを非表示/違反報告)
真珠(プロフ) - _____奏音 .さん» 以前から来てくれた読者にまた来てもらえるとは・・・！嬉しすぎて昇天しそうです！(吐血) (2014年2月23日 18時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真珠 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/sinnjunino
作成日時：2013年10月29日 1時
