かわいい弟【末ズ】 ページ48
俺には可愛い弟がいる。
二卵性双生児で平たく言うと双子な訳だけど、俺と潤くんはあまり似ていない。
似てる点を強いて挙げるとしたら、俺も少し眉毛が太いってところかな。
そのくらいしか似てるところがないから、兄弟には見えないって周りから言われる。
俺もそう思うもん。
だけど、やっぱり俺たちは正真正銘の双子の兄弟な訳で。
ふとした瞬間に血の繋がりを感じる時がある。
.
その日、俺より遅く学校から帰って来た潤くんの様子は変だった。
制服のズボンの裾をズルズルと擦って廊下を歩く音が聞こえる。
和「おかえり」
リビングから顔を出して言うと、潤くんは少しだけこっちを見て小さく頷いた。
口を小さく開けて消え入りそうな声で返事をした。
潤「・・・・ただいま」
カバンも肩からずり落ちていて表情も暗かった。
潤くんはかなり落ち込んでいるらしい。
いや、らしいというか、明らかに落ち込んでる。
自分の部屋に消えた潤くんの後姿を眺めたあと、俺はリビングに戻った。
そして、今までやっていたゲーム機のコンセントを抜いた。
重いゲーム機を両腕で抱えて、落とさないように慎重に階段を上がる。
俺の部屋の隣にあるドアの前に立って、2回ノックをする。
和「潤くん、入っていい？」
返事はなかったけど、俺は肯定の意味と受け取って部屋に入った。
綺麗に整頓された部屋にあるベッドの上に、潤くんはうつ伏せになっていた。
部屋にあるコンセントにゲーム機を接続して起動させる。
潤くんが寝ているベッドを背もたれ代わりに、俺はいつも通りゲームをした。
潤「・・・・・ここで、やる意味あんの？」
後ろから掛けられた掠れた声に振り返る。
毛布を顔のとこまで被っていて、赤く腫れた潤くんの目が隙間から覗いた。
もう高校生だってのに、素直になれない時ベッドに潜るのは子供の頃と変わらない。
和「俺が潤くんの傍に居たかっただけ。ゲーム、うるさくしないから。
だから、しばらく居てもいい？」
潤「・・・・・・・・別に、いいよ」
潤くんは少し考えた後、小さく独り言みたいに呟いた。
潤くんは俺よりも友達の数も多くて色んな人に慕われている。
だから、こうして毛布に包まる姿を見たら驚くだろうな。
寂しがり屋で、甘えん坊で、天然で。
学校ではあまり見せない一面。
家族である双子のお兄ちゃんの俺の特権。
しばらく、俺は潤くんの部屋でゲームをして過ごした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 166人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
彩音(プロフ) - みややさん» そうでしたか!!私だけではなかった(笑)磁石の日なんて顔面崩壊ですよぉ、萌えますよぉ(笑) (2013年10月1日 22時) (
レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» いいですよー。あるある的ミスですからね(笑) (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» そうですねぇ、書いてて少し奥手になってしまったなぁと(笑)設定的に、翔さんは奥手ですが自覚症状なしに凄い事をやってのける人だと思って書いてます(笑)頑張りますね!! (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
みやや(プロフ) - 「磁石の日」初めて知りました!!ニヤニヤしてしまうのは、おかしくありません！私もです(笑) (2013年10月1日 21時) (レス) id: 0652d0798d (このIDを非表示/違反報告)
きらら - ミスった！すいませんでした。 (2013年10月1日 19時) (レス) id: 9ab90ef3ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真珠 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/sinnjunino
作成日時：2013年7月3日 0時
