〜3〜 ページ40
足取り軽く、和の待つマンションへと向かう。
左手に持っているケーキの箱。
和の顔が浮かび、思わず笑みが零れる。
「しょおちゃ〜ん！」
顔を上げると、窓から顔を出して思いきり手を振る和が見えた。
振り返そうと左手を少し上げたところで、手に持っているプレゼントを思い出す。
ケーキを後ろに回して、カバンを上げて手を振り返す。
「おかえり！」
「・・ただいま」
笑顔で告げると、和はその何倍もの笑顔を向けた。
マンションに入り、自分の部屋の扉の前に立つ。
ドアの向こうからパタパタと駆け寄ってくる音が聞こえる。
ドアを開けると和も同じタイミングで開けようとしていたらしく、
両手が塞がっている俺の胸の中にポスンと落ちる。
「わっ」
「あっ、ごめん！大丈夫か？」
「うん・・・大丈夫」
鼻をさすりながら和は照れ臭そうに笑った。
カバンを置き、和の頭を撫でる。
髪がふわふわと手に当たってくすぐったい。
和は笑みを零して肩をすくませる。
ふと足元を見ると、俺のではない革靴が置いてあった。
持ち主は大体想像が出来た。
というか、ソイツでないと困る。
「おかえりぃ〜」
思い浮かべた男が、暢気な声を出す。
リビングのドアの隙間からひょっこりと顔だけを出して笑みを浮かべている。
「・・・智くんも、居たんだ」
「翔ちゃんにメールした後に来たの。
知らせたかったんだけど、打ち合わせで暇なくて」
「いや、仕事なんだし別にいいけど・・・」
“俺の思い描いていたお祝いと違ったからさ。”
喉元まで出かかった言葉を封じ込める。
執筆で忙しかったぶん、一緒に居たかったんだけど。
まぁ、仕事ならしょうがないな・・・。
和は俺から離れてリビングに居る智くんのもとへ行った。
「大野さん、ほんとにあの二人来るんですか？」
「わかんね。来なかったら来なかったで」
「何それぇ。大事な打ち合わせってゆったじゃん」
「う〜ん・・・。寄り道でもしてんのかな？」
「・・どうしたんだろ、あの二人」
「残業決定だね」
「・・大野さんって仕事に関してはシビアですよね」
「俺が厳しいわけじゃないよ？多分」
「多分って」
二人は和んだ様子で会話を続けている。
俺は玄関に未だ突っ立ったままだった。
「これ・・・・どうしよ」
ケーキが入っている箱を見て、小さく呟く。
俺はケーキを出すタイミングを完全に逃した。
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彩音(プロフ) - みややさん» そうでしたか!!私だけではなかった(笑)磁石の日なんて顔面崩壊ですよぉ、萌えますよぉ(笑) (2013年10月1日 22時) (
レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» いいですよー。あるある的ミスですからね(笑) (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» そうですねぇ、書いてて少し奥手になってしまったなぁと(笑)設定的に、翔さんは奥手ですが自覚症状なしに凄い事をやってのける人だと思って書いてます(笑)頑張りますね!! (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
みやや(プロフ) - 「磁石の日」初めて知りました!!ニヤニヤしてしまうのは、おかしくありません！私もです(笑) (2013年10月1日 21時) (レス) id: 0652d0798d (このIDを非表示/違反報告)
きらら - ミスった！すいませんでした。 (2013年10月1日 19時) (レス) id: 9ab90ef3ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真珠 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/sinnjunino
作成日時：2013年7月3日 0時
