〜その後〜*1* ページ38
和の執筆した本格ミステリが、智くんの出版社の文化賞をとった。
このことを仕事中、智くんのメールで知った。
いつも通り仕事をこなしていたが、
内心、今すぐにでも仕事場を抜け出して和と喜びたいくらいだ。
俺が受賞した訳でもないのに、気持ちが異様に高ぶる。
寝る間も惜しんで執筆していた和の後姿を眺めることしか出来なかった俺は、
無力さを感じていた。
ただひたすら、陰で見守ることしか出来なかった。
傍に居て支えると誓ったあの日から1ヶ月が経とうとしている。
俺は、この1ヶ月の間に何をしてあげたんだろう。
業務が終わると、近くの店に寄る。
一度だけ和と訪れた駅前にできたケーキ屋。
右手にカバンを提げ、左手には小さくて白い長方形の箱。
箱の中身はチーズケーキ。
甘党という程でもない、寧ろ少し苦手な和が『美味しい』と気に入っていた。
受賞したと聞いて、すぐに思いついたプレゼント。
『また食べに来たい』と顔を
きっと喜んでくれるに違いない。
メールでひとまず仕事が終わったことを和に報告する。
受賞のことは触れなかった。
祝福の言葉は自分の口で直接言いたかった。
しばらくすると、受信を知らせる音が鳴る。
“お疲れさま！
いま翔ちゃんちで夕飯作って待ってるよ。
もう秋だね。ちょっと寒いくらい。”
簡潔に綴られたメールと添付された画像。
俺の住んでるマンションの階から見える風景。
和と出会ったのは、木に葉が生い茂っていた夏の頃。
添付された画像に写っていたのは、すっかり葉が抜け落ちた木。
和は窓から顔を出して、この木を撮ったんだろう。
あれからも窓から顔を出して、仕事に行く俺を送り出してくれる。
和にとって窓というのは、特別なものなのかもしれない。
もちろん、俺にとっても。
窓から顔を出して、俺を見つけると明るくなる和の顔。
俺は、身を乗り出して手を振る和を『危ない』と注意して慌てる。
だけど構わずに和は笑顔で言う。
『おかえり、翔ちゃん！』
家に着いたら『おめでとう』って言って、思いきり抱きしめよう。
そしたら和は『ご飯が冷めちゃう』って耳を赤くして照れるだろうな。
――早く、和に会いたい。
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彩音(プロフ) - みややさん» そうでしたか!!私だけではなかった(笑)磁石の日なんて顔面崩壊ですよぉ、萌えますよぉ(笑) (2013年10月1日 22時) (
レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» いいですよー。あるある的ミスですからね(笑) (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» そうですねぇ、書いてて少し奥手になってしまったなぁと(笑)設定的に、翔さんは奥手ですが自覚症状なしに凄い事をやってのける人だと思って書いてます(笑)頑張りますね!! (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
みやや(プロフ) - 「磁石の日」初めて知りました!!ニヤニヤしてしまうのは、おかしくありません！私もです(笑) (2013年10月1日 21時) (レス) id: 0652d0798d (このIDを非表示/違反報告)
きらら - ミスった！すいませんでした。 (2013年10月1日 19時) (レス) id: 9ab90ef3ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真珠 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/sinnjunino
作成日時：2013年7月3日 0時
