近所のお兄さん25 ページ36
二宮さんは黙って俺の話を聞いていた。
行き場のない両腕がだらしなく下がっている。
隣りで外を眺めていた二宮さんは橙色に輝く夕日と溶け込んでいた。
眩しさに眉を少し下げて、陽に反射して潤む瞳が綺麗だった。
消えてしまいそうな、どこか儚い印象を与える。
近くにいても尚、遠い二宮さんに思わず手を伸ばした。
そこに居る事実を肌で、感触で確かめたかった。
そして零れ落ちた言葉の羅列。
胸の中で二宮さんは未だ動かない。
抱きしめる腕の強さが弱まらない。
このまま二宮さんを離すのが怖かった。
「・・・しょう、さん」
涙を含む震えた声で、控えめに言葉を零す。
俺は咄嗟に離れようとしたが、包み込む腕に止められる。
二宮さんは俺を抱きしめていた。
だらしなく下がっていた腕は、俺の首の後ろに回された。
一言も発することの出来ない俺に構わず、言葉を零し続ける。
「違わないですよ。
僕も翔さんと、おんなじです。おんなじ、気持ち。
僕たちの気持ちは、全然・・・。
全然、違わない」
二宮さんの話す声が耳元のすぐ近くで聞こえる。
首に回された腕は緩み、密着していた体は離れ、視線がお互いにぶつかる。
俺の目をじっと見つめた後、口角を小さく上げて、目を細めて柔らかく微笑む。
「僕たち、やっぱり似た者同士ですね」
目尻が赤く滲んでいた。二宮さんの白い肌にくっきりと浮き上がっている。
今度は優しく引き寄せて、
壊れないように、
――そっと抱きしめた。
「・・二宮さん」
「――はい」
抱きしめたまま顔を少し見た。
目が合うと、腕の中で幸せそうに微笑んだ。
「受け入れてくれて、・・・ありがとう」
お礼を言われて目を少し丸くし、また微笑んだ。
「僕こそ。――あの時、僕を見つけてくれてありがと・・・」
何のことかと考えていると、二宮さんは少し苦い顔をした。
あまり思い出したくないことらしい。
「僕、少しスランプだったんです。
書きたくないというか・・・。書きたくても、書けなかったんです。
その、掛け持っている作品があったから、担当の人が様子見に来る始末で・・・。
そんな時、ふと窓に目がいったんです。
・・・翔さんのこと、見つけられて良かった」
聞いているこっちの方が何だか切なくなる。
もし、いつも通りに出勤していたら―――。
もし、あの時気付かずにいたら―――。
この人を傍で支えていく。
――そう、胸に誓った。
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彩音(プロフ) - みややさん» そうでしたか!!私だけではなかった(笑)磁石の日なんて顔面崩壊ですよぉ、萌えますよぉ(笑) (2013年10月1日 22時) (
レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» いいですよー。あるある的ミスですからね(笑) (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
彩音(プロフ) - きららさん» そうですねぇ、書いてて少し奥手になってしまったなぁと(笑)設定的に、翔さんは奥手ですが自覚症状なしに凄い事をやってのける人だと思って書いてます(笑)頑張りますね!! (2013年10月1日 22時) (レス) id: af6ce7423c (このIDを非表示/違反報告)
みやや(プロフ) - 「磁石の日」初めて知りました!!ニヤニヤしてしまうのは、おかしくありません！私もです(笑) (2013年10月1日 21時) (レス) id: 0652d0798d (このIDを非表示/違反報告)
きらら - ミスった！すいませんでした。 (2013年10月1日 19時) (レス) id: 9ab90ef3ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真珠 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/sinnjunino
作成日時：2013年7月3日 0時
