二階堂大和のいもーとちゃん (ページ14)

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それから上手く環をなだめて、場を切り抜けた。
何度も何度もしつこく聞かれたけれどサラッと受け流した

環も環なりに、心配を、してくれたのだろうか。
だとしたらとても嬉しい

でも、どんどん不安は大きくなっていって心のわだかまりは取れないまま。
我ながら本当に情緒不安定だなあとも思う
情けないなあとも思う
一人になると自分を卑下してしまう癖が抜けていないみたいだ

「だめだなあ…」

こんなときに会いたくなる
天や龍、楽に。
あの三人と話したい、慰めてほしい
「AはAだ」って言葉にしてほしい

いくらtriggerだって、一世を風靡する人気なアイドルグループであって毎日が一瞬で終わってしまうくらい忙しいのだって分かっている
けれど彼らは優しいから…。

「…もしもし、ごめんね。急に。」

こうして甘えてしまうんだ
本当に私にとっての飴であり鞭である
あの毒舌な天でも、なんだかんだ言って話を聞いてくれるし適切なアドバイスもくれる。
熱血で誰よりも不器用な楽だって「大丈夫だ」っていって頭を優しく撫でてくれる
女の人が苦手な龍も親身になって真剣に解決策を考えてくれる。

「ううん、大丈夫。
それより、どうしたの」

「天達に、会いたくなったの。」

そっか、と電話越しからでも分かってしまう天の微笑む姿
こんな我が儘言って迷惑がらないのだ、普段は私のことをここまでかと言わんばかりにキツいことを言ってくるくせに。

「ねえ」

「なに？」

まるで恋人みたいね。と姉鷺さんに言われたこともあるくらいの会話をかます
彼が柔らかくきてくれるのであれば、私も柔らかくする

…それにしても天から話題を切り出すだなんて珍しいな
いつもは聞き役やズバッと意見を言うだけなのに。

「楽や龍、社長とも話したんだけど

僕らと一緒に暮らさない？」

いきなりすぎて息をするのも忘れてしまった
はあ、危なかった
ていうか一緒に暮らすって何、なんの勧誘なの
そんな今をときめくアイドルがそんなこと言っていいの？

「Aが辛い思いをしているのに、放っておけないよ
…ああ、勿論ことだけど強制はしないし寮もこちら側が用意するからお金のことは心配しないで」

殊更、悪巧みをしているときの声色で話をトントンと進めていかれる
何がなんだか本人が分かってもいないのに。
本当になんてこった。

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