5年前(2) ページ4
A『や・・・めて・・いやだっ！うっ！はぁ・・・わぁぁぁぁっ！・・・ん？はぁ・・・はぁ・・・ここは・・・？』
目が覚めると、見知らぬ天井が見えた。
ゆっくり起き上がろうとすると、体に痛みが走る。
A『痛っ！』
私が思わず声に出すと、回転椅子に腰掛けていたローがゆっくりと振り返った。
ロー「目が覚めたか・・・」
A『うん・・・⁉はぁ、ハァッ・！』
荒い呼吸が収まらない。
ロー「随分うなされてたみたいだが？」
A『何でもない。なん・・でも・・・』
何でもなくなんてない。
さっきの夢は、私の過去だ。
私は・・・・・
昔、親を殺され、大切な友達を殺され、
故郷も、消された。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
世界にとって、妖怪は危険な存在とされていた。私、家族、友達が住んでいた妖怪の国は、恐れられ、蔑まれ、消された。
全て、世界に嫌われた、そして、
妖怪は、長生きする。
それは、空白の100年の謎を解き明かす鍵となる。
それは、政府にとって都合が悪いから。
だから。
何も悪い事はしてないのに
消えた。消された。殺された。
生き残ったのは私だけ。独りだった。
必死に飛び続けた。背中の翼の羽が飛び散る。
力つき、私が落ちた島は、平和な島だった。
その島は、昔妖怪に助けられたらしい。
最後まで、妖怪の国を消すのに反発していたそうだ。
幼く、妖怪だった私も、快く受け入れてくれた。
仲のいい友達。優しい大人達。美しい自然。
とても小さな島だったけど、とても素敵な島だった。
けど、ある日。その島も消された。妖怪である私をかくまっていた事、極悪海賊が島で立てこもった事。最悪が重なり、
消えた。
妖怪で、いけなかった？
私、ダメだった？
2度も大事な人達を失い、故郷を潰され、
私に心はなかった。
私は、殺し屋会社に引き取られ、その時の記憶を消されていたみたいだ。
それをいきなり思い出した。
あ、あ、あ、
A『ハァッ・・・グスッ・・うっ・・・うっ・・・何でっ！みんな消えちゃった・・・』
私は任務の事なんて忘れて、顔を手で覆って泣いていた。
ロー「・・・」
ローは黙って私を見ていた。
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作者名：婀鵺禰 | 作成日時：2018年6月2日 22時
