39 ページ40
「ごめん、帰るよ」
何事もなかったかのようにすぐに帰ろうとするリヴィ。
「待て」
そう言って腕をつかんだ。
「何か飲み物ぐらいいれるさ、あがってくれ。」
「……嫌だ」
「………さっきから分かっていたんだが、君酔っているだろ。それに突然訪ねてくるなんて、何かあったな。私を頼ってきたんじゃないのか。とにかく、一人で帰すわけにはいかない。」
「……ッ！！」
何にも言わないリヴィに痺れを切らして無理矢理こちらを向かせると彼は目に涙を浮かべていた。
「(え、)」
目が合うと同時に腕を振り払われた。
「リヴィ、」
「やめろよ!!……やめてよ、もう…俺が一番仲良かったのに！！付き合ってるなら早く言ってくれれば良かったのに！！第一、なんで僕をそんな簡単に家に上げちゃうの！」
「は？何のこと、」
「不破さんも不破さんだよ！！いくら後輩だからって彼女と男を家でふたりきりにするか！？もっとAのこと大事にしろよ！！」
本格的に泣き始めてしまったリヴィにこれは相当だなと思いながらどういう勘違いをしているのかだいたい想像がついた。
家に上がらせようとしても「嫌だ！」の繰り返しで玄関から動いてくれない。
無理矢理抑え込むしかないか。
「リヴィ」
「だから上がらな、！」
「リヴィ、落ち着け」
真正面からしっかりと背中に腕を回して撫でてやる。リヴィは優しいから、酒で自分の力加減が分からない今なら無理に解こうとはしないだろう。
「やめて！！！」
「不破くんとは付き合ってない」
「………は、」
腕の中でピタリと大きな体が止まった。
リヴィを離して、少し高い位置の顔を両手で包んで目を見てもう一度同じことをいう。
「不破くんとは、付き合ってない。」
「…う、そ」
「嘘じゃない。付き合ってないし、私はリヴィが一番仲いいと今でも思ってるよ。」
は、と一瞬固まったかと思うとぽぽぽぽぽっと首まで真っ赤に染まったリヴィ。そのままずるずると座り込むと蚊の鳴くような声で「ころしてくれぇ……」と塞ぎ込んでしまった。
「とにかく、うちに上がるだろう？夜ご飯、今から作るんだ。今日は和風麻婆豆腐だよ。食べるだろ？」
「……たべるぅぅ……」
◇◆◇◆◇◆
付き合ってないって、僕が一番だって、
言ってもらえたのは嬉しい。嬉しいけど、恥ずかしすぎる。
完全に痛いやつじゃないか。大の大人が酔っ払って、勘違いして泣きわめいて迷惑かけて。
あ、
【待って僕の気持ちバレてないよね？】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「2j3j」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
bd(プロフ) - キッカさん» 私も思いましたが母がしていたので笑 美味しいんですよ…これからもよろしくおねがいします！ (2022年7月8日 7時) (
レス) id: acb9b65eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キッカ(プロフ) - 土鍋に油入れて炒め物！？と思ってしまいましたが関係なく教授とキャメロンさんが幸せそうなのでOKです…！続編も今読ませてもらってます！これからの展開も楽しみです！ (2022年7月7日 17時) (レス) @page45 id: a720bcf40a (このIDを非表示/違反報告)
bd(プロフ) - 春瀬さん» ありがとうございます！続編も引き続きよろしくおねがいします！ (2022年7月7日 16時) (レス) id: acb9b65eb1 (このIDを非表示/違反報告)
春瀬(プロフ) - 素敵な物語をありがとうございます！みるみる引き込まれました。続編も楽しみにしています！ (2022年7月5日 9時) (レス) @page50 id: eab317b5b8 (このIDを非表示/違反報告)
bana(プロフ) - みみさん» ありがとうございます！そう仰っていただけると幸いです！ (2022年4月5日 0時) (レス) id: acb9b65eb1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：bd | 作成日時：2022年3月12日 0時
