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レイン君からの電話でYouTubeを開いた。
その姿を見た瞬間、大して防寒もしないままコートだけ羽織って本社へ急いだ。
彼女が本社から配信しているかなんて分からないのに、居ても立ってもいられなくなってしまった。
本社に着いてスタジオを探し回る。
YouTubeを開くと配信はすでに終了していて、もしかしたら帰ってしまったかもしれない。
それでも諦められずに駆け回っていると
「そんなに急いでどうしたんだい。」
休憩室から声をかけられた。
最後の記憶と何ら変わりない、あまり抑揚のない喋り方。
ゆっくりとその方向を見ると、缶コーヒー片手に壁に体重を預けて微笑む彼女がいた。
Aが、生きていた。
「リヴィ」
「A…?本当に…?」
「リヴィ、ただいま。」
彼女はコーヒーをテーブルに置くとこちらへ歩み寄ってきた。僕はぼーっとしたまま見ていたが、視界はどんどんぼやけていく。
「A…っ」
「うん。」
「、」
堪らず抱きついたその肩は僕よりもずっとずっと小さくて、また居なくなるんじゃないかと不安に駆られる。
力を込められて痛いだろうに、彼女はゆっくりと背中をさすってくれた。
「おかえり…っ!おかえり…っ!!」
「ただいま」
「もう、どっかに行ったら駄目だから…!!」
「もうどこにも行かないさ」
「、も、ほんと、よかったぁ……!!」
こんなに泣いたのはいつぶりだろうか。安心して力が抜けきる前に椅子に二人して座って、僕は年甲斐もなくまだ涙が出続けている。
すると突然に僕のスマホが鳴った。
電話の相手はレイン君。
「っ、もしもし、」
『あ!先生!!Aさんは!?』
視線をやると、頬杖をつきながら優しい表情をした彼女と目が合う。そのままふっと笑うと彼女は口を開いた。
「私も一緒にいるよ、レインさん。」
『〜〜〜!!!心配したんだからな!!!ほんとに!!』
『まじで!?まじでAさん!?!?いや生きててくれて嬉しいけど俺が見たあれは何!?』
『今はいいじゃん!!Aさん!おかえりなさい!!』
『年上を騙すなんていい度胸してますねぇ〜!!!』
「、ふふっ、ごめんね皆。また改めて説明もしたいから今度家に招待するよ。もちろんご飯を用意してね。また連絡するから待っててくれ。」
電話の向こうには同期たちが揃っていた。彼女の言葉に、口々に返答を返すと電話は切れた。
「相変わらず、騒がしいね。」
「ええ、本当に」
【帰ってきた僕の日常】
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bd(プロフ) - キッカさん» 私も思いましたが母がしていたので笑 美味しいんですよ…これからもよろしくおねがいします! (2022年7月8日 7時) (レス) id: acb9b65eb1 (このIDを非表示/違反報告)
キッカ(プロフ) - 土鍋に油入れて炒め物!?と思ってしまいましたが関係なく教授とキャメロンさんが幸せそうなのでOKです…!続編も今読ませてもらってます!これからの展開も楽しみです! (2022年7月7日 17時) (レス) @page45 id: a720bcf40a (このIDを非表示/違反報告)
bd(プロフ) - 春瀬さん» ありがとうございます!続編も引き続きよろしくおねがいします! (2022年7月7日 16時) (レス) id: acb9b65eb1 (このIDを非表示/違反報告)
春瀬(プロフ) - 素敵な物語をありがとうございます!みるみる引き込まれました。続編も楽しみにしています! (2022年7月5日 9時) (レス) @page50 id: eab317b5b8 (このIDを非表示/違反報告)
bana(プロフ) - みみさん» ありがとうございます!そう仰っていただけると幸いです! (2022年4月5日 0時) (レス) id: acb9b65eb1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:bd | 作成日時:2022年3月12日 0時