Story66 ページ21
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シルクside
静かな教室に響いた声。
振り返ってみると、立っていたのは唯。
唯 「あれ?Aは?まだ来てなかった?」
首をかしげると長い髪がさらっと揺れる。
そのまま唯はこっちへ近づいてきて。
唯 「えっ、それ…」
さっきまでAがいたことを俺が告げるよりも早く、形の崩れたタルトに気づいた。
普通に渡されていればこんな風にはならない。
唯 「Aと何かあったの…?」
恐る恐ると言った感じで、遠慮がちに問いかける唯に申し訳なくなる。
なにか…って聞かれたら
シルク 「とうとう本気で嫌われたってとこかな。」
唯 「え?」
シルク 「とにかく行ってやって。あいつ、泣いてるから。」
唯 「えっ?!」
『泣いてる』という言葉に唯はとっても驚いた様子で、慌てて俺に背を向けた。
彼女のことだから、きっと理由も聞かず真っ先にAを探しに行くんだろう。
そう思って出ていく背中を見つめることはしなかった。
だけど、途中で止まった足音。
どうしたんだろうと顔を上げると、教室を出ようとする寸前のところで唯はこっちに背を向けたまま立ち止まっていた。
そして、
唯 「…シルクくん。シルクくんは、好きな人とかいるの…?」
ゆっくりと振り返って響いた、唯の綺麗な静かな声。
向けられた眼差しはまっすぐ真剣で胸の奥がドクンと跳ねた。
シルク 「…いるよ。」
目の前に。
お前のことが、すきだ。
そう素直に言ってしまえば、少しはこの重苦しい気持ちから開放されるのだろうか。
唯 「そう、なんだ…」
俺の返事に少し驚いた顔をする唯。
あまりき鈍い様子に何故だかきょうは無性にイラッとした。
その細い腕を掴んで引き寄せて、いっそのこと『お前のことだよ』って言ってやろうか。
何がひっかかってるのか自分でもよくわからない。
だけどたまらなくむしゃくしゃして。
立ち上がろうとした時…
唯 「…わかった。今までごめんね。」
ハッとして彼女を見ると、困ったような、申し訳なさそうな笑顔を浮かべ教室を出ていった。
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ゆり(プロフ) - 楽しみに待ってますのでまた是非更新お願いします(≧▽≦)ゞ (2019年8月20日 20時) (レス) id: cf54931ea1 (このIDを非表示/違反報告)
yuka(プロフ) - あやなさん☆ また是非是非続き更新お願いします!楽しみに待っています! (2019年8月15日 0時) (レス) id: e94d3626b3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - 続きが見たいです!!更新頑張って下さい(*≧∀≦*) (2019年5月19日 20時) (レス) id: cf54931ea1 (このIDを非表示/違反報告)
愛と勇気だけが友達 - 更新頑張ってください! 楽しみにしてます。♪ (2019年3月2日 7時) (レス) id: 9cbaeb96d8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり(プロフ) - やった〜!!!もう嬉しすぎてすでに心臓バクバク!!!楽しみにしてます!!!これからも頑張って!!! (2019年2月24日 12時) (レス) id: cf54931ea1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやな | 作成日時:2018年4月9日 22時