保健室の無効化先生【マッシュル-MASHLE-】 (ページ3)

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マッシュは目を見開く

マッシュ「Aちゃん…」

『なんじゃ、怪我をしたのかえ
　そなたが怪我をするとは、ウォールバーグに何かされたか』

彼女は流血するマッシュの手を見て顔をゆがめる

マッシュ「…………ッ」ダッ

マッシュは走った

距離など大したことではない

ましてマッシュの脚力ならば、彼女のもとに辿り着くなど造作もない

『あとでウォールバーグには説教をーーーーー「Aちゃん」
　おおッ！？』

ギュ～～～

マッシュは彼女を抱きしめた

決して離さぬように、彼女の存在を確かめるように

『マ…マッシュ…離しておくれ

　でないと、妾が先に天に召されてしまう』

マッシュ「それはまずいですな」

バッ

彼女の声にマッシュは一瞬で手を離した

『いやはや、また力が強くなったかのう…』

彼女はマッシュに抱きしめられた身体をボキボキと音を立てて直す

『会いに行けず、あいすまぬな
　積もる話もあるが、まずは治療をせねば』

“治療”の言葉を聞いたマッシュは

シュバッ

一瞬で彼女の向かいにあった椅子に座る

『ふふ、マッシュの治療をするのは何年振りかえ？
　そなたは怪我とは無縁であったからのう』

マッシュ「うす」

マッシュと向かい合った彼女は、流血するマッシュの手を取った

そして唱える、文字通りの“魔法の言葉”を

『インバルド』

マッシュ「…おお、相変わらずスゴイですな」

マッシュは己の手を見つめて呟く

『うむ、もう良いぞ』

その視線の先には、まるで何もなかったかのような

キズなどどこにもない手があった

『合格者はこの後入寮の説明があったはずじゃ
　共に行ければ良いのじゃが、この後のケガ人を放っておくわけにもいかぬのでな

　その扉を出て、右に進めば広間がある
　そこにお行き』

彼女はそう言うと、カルテを書き始めマッシュから目をそらす

マッシュ「む……」

目をそらされて悲しかったのか、マッシュは声をかける

マッシュ「また、来てもいい？」

マッシュの声に、彼女…A・ウィスタリアは微笑んだ

『ふふ、明日には扉をスライド式に取り換えておこう』