約束 ページ6
"屋上"
『ハァ…………。
(本当に蔵馬、私のこと忘れてるのかしら。
はじめましてって言ってたし……………。でも………
ここにいると、そんなこともすべて忘れられる………。)』
ガチャ
『!?』
ドアの開く音が屋上に響く。
「此処、立ち入り禁止ですよ。南羅さん。」
『……!くっ、み、南野くん……。
ここ、すごくいい場所だね。
悲しいこと、辛いこと、嫌なこともすべて忘れられる………。』
「南羅さん、悩みがあるんですか?オレでよければ聞きますが?」
『そう………。
じゃあお言葉に甘えさせてもらうわね。
私昔ね、とても仲のいい人がいたの。
何をするにも、ほとんど一緒に行動していたわ。
そんなある日、その人と別れる日が来ちゃって……………。
また会う約束をして、別れた。
ここまではいいんだけどね、話はこのあと。
私、最近になってその人を見つけたのよ。
その人は気づいてないのか知らないけど、"久しぶり"とか"会いたかった"の一言もくれない。むしろ、はじめましてって言われちゃった。
私のこと、忘れちゃったのかな…………。
どう思う?ねぇ…………
"蔵馬"』
「……。」
『私のこと、忘れちゃった?
私、あなたのこと大好きだったのに。
あなたとの約束も信じてたのに………。』
「……。」
『……。あなたがホントに忘れてるのであれば今の話はわすれて。
バイバイ、……南野くん。』
かりんがその場を去ろうとする。
ガシッ
『……!』
「待って。」
南野秀一がかりんの腕を掴む。
かりんは体ごと振り向き、出そうになっていた涙をこらえ、南野秀一に問う。
『っ………どうしたの、南野く「ごめん」え?』
「ごめん。かりん」
『!(今……"かりん"って………)』
「かりんのこと、忘れたわけじゃないんだ。」
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作者名:唯那 | 作成日時:2017年6月20日 20時