玄武 ページ30
「グフフ、よくきたな。玄武様がかわいがってやるぜ」
「ででででけェ……!!」
「上に行く階段はここしかないぜ。俺を倒していくか死体となっていくかだ」
ドカッ
言い終えると威嚇のように尻尾で岩の床をへこませる。
「まとめてかかってきていいぜ、その方が俺も手間がはぶける」
「じょ…冗談じゃねぇぜ。どうやってこんな化け物と闘うんだよ!?」
桑原があたふたしている中、蔵馬が名乗りをあげた。
「オレがやろう。敵の性質がわからない以上全員で行くのは危険だ」
「蔵馬!!」
「それに飛影にばかりいい格好をさせるわけにはいかないしね」
「うるさい!」
「ひとりずつ死にたいか、それもいいだろ」
「ム ムチャだぜ、それよりなんとかスキを見て上に進んだ方が…」
「貴様は蔵馬の強さを知らんからな。
なぜオレがヤツと組んだか教えてやる、敵にまわしたくないからだ。自分に危害を加えようとする者に対する圧倒的な冷徹さはオレ以上だぜ」
「さぁ…どこからでもどうぞ」
玄武は動かない。
「…………こないならこちらからいきましょうか」
「!?あの野郎のしっぽが硬い床の中にとけこむ様に入っている!?」
ズズズ…
『……!蔵馬うしろ!』
「なにィ!!
蔵馬の背後からしっぽだけが出てきた!!」
「!?」
「ぐははは
俺は岩と一体となって移動することができるのだ
岩を通せばしっぽだけの移動など朝飯前よ!!」
ドシュッ!
尻尾が蔵馬の腹部を裂く。蔵馬は片膝をついた。
「岩の中を通じてシッポが移動しやがった」
「く、蔵馬!!」
「岩と一体になりその中を自由に動けるオレにとってこの部屋全体がオレ自身なのだ
キサマに逃れる術はない!!」
「蔵馬大丈夫か!!」
「心配はいらない…かすり傷だ
不意をつかれて多少驚いたがね」
「強がりもいつまで言っていられるかな……くくく」
「ああ!!
今度は玄武の体全部が岩の中に沈んでいく」
「完全にかくれやがった」
「これじゃどこから来るかわからねェ」
「ばぁ!!」
「また後ろか!!」
『違う……!前からも!』
蔵馬はすかさず身を翻して避ける。
玄武はまた床に沈んだ。
「また沈むぞ!」
「てめー汚ねェぞコラァ!」
床から飛び出しながら玄武が叫ぶ
「オラオラ逃げてばかりでは勝てんぞ!!」
ひらりと身を翻しながら
「確かに貴方の言う通りだ」
蔵馬は髪から一輪の深紅の薔薇の花を取り出した。
16人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:唯那 | 作成日時:2017年6月20日 20時