懺悔 ページ18
その後3人は病院の屋上に場所を移した。
「で、どういうことだ蔵馬にかりん……じゃなくて秀一君と緋花莉ちゃんよ。」
『南野秀一と南羅緋花莉。それが人間界での私達の名前』
「そしてあの人はオレの仮の母親…仮の父親は少し前に死んだ。」
そこからは蔵馬の話だ……とでも言うようにかりんは口を閉ざした。
「ちょっと待て！何で妖怪のお前に人間のお袋がいるんだよ！」
「オレの正体は妖狐。かりんや他の仲間達と共に封印や暗号を解いて古代の宝具や武器を専門に盗んでいた。」
「妖狐？！オメーの正体は狐のバケモンか？」
「そんなところだ。15年前、オレは強力なハンターに深手を負わされ、霊体の状態で人間界に逃げこんだんだ。人間に化けたり、乗り移ったりする力すら残ってなかったオレは、仕方なくある夫婦の生命になる寸前の受精体に憑依した。」
「…！！お前、まさか…！」
「そうだ。さっきの女性。南野志保利さんを15年間騙し続け、一人息子として育ててもらっていた。」
「テメー…！」
「無論、いつまでも人間の子供の姿に甘んじているつもりなどなかった…10年も我慢すれば、成長に合わせて、妖力も回復し肉体も完全になる。それと同時に、夫婦の前から姿を消すつもりだった。」
「…それが、どうして？」
「彼女の両腕には、古い傷跡がある。」
「傷跡？」
「六年前……子供だったオレが、戸棚から物を取ろうとして誤って足を滑らせ、割れたガラス片の上に落ちそうになった時…あの人が身を呈して守ってくれたんだ。」
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《うああぁ！》
《秀一！》
パリンｯ！！
《…！母さん！手から血が…！》
《母さんは平気よ…秀一は大丈夫？怪我しなかったわね…？良かった…》
《母さん……！》
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「その傷は、妖力さえ戻れば、オレにとってはとるに足らないものだったろう。たが、彼女には一生残る傷跡になってしまった。
その後も何度も家を出ようとしたが、その度に彼女の腕の傷と笑顔がちらついて……結局、踏み切る事が出来なかった…」
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作者名：唯那 | 作成日時：2017年6月20日 20時
